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めんどくさい
ああ、なんて冷たい人なんだろう。
第一印象はそう感じた。
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「相澤ァ!なんだぁその髪色は!!」
廊下を歩いてると聞こえてくる
生徒指導の先生の声。
「…地毛ですけど」
野太い声の後に聞こえてくる可愛らしい声。
私はその声のした方に顔をむけると
そこにいたのはもう超絶美少女って言っても過言ではない
栗色の髪を靡かせて目鼻立ちもくっきりとした王道美少女が立っていた。
その王道美少女こと、相澤 優璃 (あいざわゆうり)は
怪訝な顔をしながら生徒指導の先生と向かい合う。
(は?横顔も美少女とかチートじゃん)
私はそう思いながらその2人の横を通り過ぎようとすると
また聞こえてくる野太い声。
「黒沢ァ、お前もなんだその格好は」
おいおいまじかよとばっちりかよ勘弁しろよ
「あ、先生おはよぉ」
私はすかさず笑顔で挨拶をする。
面倒事には巻き込まれたくなく何事もなかったかのように
その場を去ろうとすると首根っこを掴まれる。
「おいおい、捕まちまったよ、、」
「逃がすわけないだろう。お前もこっちへ来んか」
「うへぇ」
私は情けない声を出しながら
王道美少女、相澤 優璃の横へと並ばされた。
ふわりと香る香水の甘い匂い。
同じ女なのにこの違いはなんだろう。
チラッと横目で相澤 優璃を見ると
目が合った。
「…何?」
「え、あ、いや別に。はははっ」
え、なに?怖い。
目が合っただけなのに凄い冷たい目で私を見るじゃん。
「お前らは入学してもう3ヶ月は経つのに
本校の生徒としての自覚がーーー」
生徒指導の先生、通称 もっさん
髪も髭ももさもさしてるから生徒達の間でついたあだ名だ。
もっさんの説教はとても長い。
とてつもなく長い。いつ解放されるのだろう。
通り過ぎていく他の生徒達の目線がとても痛い。
(あー今日朝から最悪じゃん)
そんな事を考えていると不意に聞こえる
可愛らしい声。
そう、相澤 優璃の声だ。
「しつこい。地毛だって言ってんじゃん。
自分もこの学校の先生だっていう自覚持った方が
いいんじゃない??」
「な、なんだと!?」
「髪も髭も清潔感ないし、タバコ臭いし
人の身だしなみに文句つける前に
自分の身だしなみどうにかしなよ。」
無表情で淡々ともっさんに冷たい言葉を
投げかける王道美少女。
(うわぁ、、もっさん顔真っ赤になってんじゃん)
もっさんの顔を見るとみるみる真っ赤になって
今にも爆発しそうだ。
うん、この流れはとても良くない。
「き、きさまっ!!
目上の人に対してその言葉使いはなんだっ!!
職員室に来いーーー」
王道美少女、相澤 優璃の腕を
掴もうとしたもっさんの手を私は
咄嗟に掴んでしまった。
もっさんの目線が相澤 優璃から私に移る。
「…先生、とりあえず落ち着きましょう。
私らが悪かったッス。以後気をつけるんで」
「そーいう問題じゃーー」
あーもうめんどくさいなぁ。
私はもっさんの腕を掴んでいた手を離し
相澤優璃の腕を掴んで走り出した。
「先生、ごめんね!
授業始まるから行くわーー!!」
「こ、こら!黒沢!待たんか!
おい!戻ってこい!!」
もっさんの声を背に
とりあえずその場を離れた。
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2階の踊り場まで駆け上がると
後ろから声がする。
「ねぇ、、痛いんだけど。」
「あ、ごめん。」
相澤 優璃の腕を掴んでいたのをすっかり忘れていた。
掴んでいた腕を離して彼女の方をみる。
「相澤さんさぁ、、もう少し言い方考えた方が
いいんじゃない??もっさん怒ってたじゃん、、」
「…は?本当の事言って何が悪いの?」
「いやいや、、、本当の事言うのは
大事だと思うけど後々めんどくさい事になるよ?」
「別にどうでもいい。
ていうか、助けてなんて言ってないし
私が怒られるだけであんた関係なくない?
むしろ、ラッキーじゃん」
気が強い。
とりあえず気が強い。
なんだ、この王道美少女。
見た目は超絶可愛いのに性格は冷めきってて
可愛げがないぞ、、???
「あー、、なんかごめん。
余計な事したな。はははっ」
こういう子は変に刺激しない方がいい。
もうめんどくさいから教室に行こう。
「じゃあね、相澤さん
もうそろそろ授業始まるし教室行かなきゃ」
「…お人好し」
相澤はそう言い残しその場を去って行った。
「…何なんだいったい」
私の虚しい独り言は
セミの声でかき消されるのであった。
やっとの思いで教室に行くと
声をかけられる。
「あ!ハル!やっと来た!」
「おはよ、、遅くなった〜、、」
「あんた朝からもっさんに捕まってたでしょ!」
「見てたんか〜い」
話しかけて来たのは私の親友
高橋 千鶴(たかはし ちづる)
千鶴とは小学生からの幼なじみで
家族ぐるみでとても仲が良いのだ。
「しかも、相澤 優璃と仲良く
お説教されてたじゃん!」
「んー、、もう途中から
相澤さんがもっさんに噛みつきだしたから
収拾つかなくなって相澤さん引っ張って走って逃げたわ」
「あははっ、朝からどんまい」
「まあ、相澤さんからは
余計な事すんなって怒られたけどね」
「あの子、誰に対してもあんなんじゃん??
気にする事ないって!それよりさーーー」
千鶴と他愛もない話をしていると
チャイムが鳴る。
(1限目は数学かぁ)
号令をし席につく。
今日もこうして長い1日が始まったのである。
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「「終わったァーー!!」」
授業を4時間耐え、昼休みへとたどり着く。
空腹で飢えた成長期の生徒達は皆歓喜の声をあげ
各々、弁当を机の上に出し食らいつき
弁当が無いものは購買へと駆け足で向かうのであった。
「千鶴〜、今日弁当?」
「あ!ごめん!今日部活の集まりあるから
そっちで食べる!!」
「あー了解した」
私は母上が本日寝坊をしたのでお弁当がない為
購買へと向かわなければならない。
あわよくば千鶴に着いてきてもらおうと思ったけど
部活の集まりがあるならば仕方が無い。
私は重い腰をあげ教室を後にする。
「今日の最高気温32℃ってそりゃ暑いわ」
ぶつぶつ独り言を言いながら購買へ向かっていると
突然横の女子トイレから誰か吹っ飛んできた。
ドンッ
「うおっ!!」
間一髪で吹っ飛んで来た子を支える。
あ、私運動神経いいからさ
こんなの朝メシ前よ!どやぁ
ってそんな事はどうでも良くて!!!
「危ないなぁ、、大丈夫??」
顔を覗きこむと、あらあらまあまあ
また会ったね相澤さん。
こんにちは相澤さん。
朝ぶりだね相澤さん。
よく顔を見てみると少し
頬が赤くなってる。
「相澤さん、大丈夫?
誰かに殴られたの?」
「…別に。」
相澤さんはそう言って私の腕を振り払う。
んもぅ、可愛げがないわねっっ!!!
「頬赤くなってーーー」
「調子乗んなよ相澤!」
女子トイレから私の声をかき消すくらいの
怒声が響き渡る。
(今日はよくトラブルに巻き込まれるな)
私は小さく、はぁっとため息をついて
その怒声のした方へと目を向ける。
その女子トイレからわらわらと
香水臭いハデハデ女軍団が出てくる。
女って怖いよ。ほんとに。
「相澤、テメェ!人の恋人に色目使ってんじゃねぇよ!」
うわぁー女あるあるじゃん。
自分より可愛い子に嫉妬しちゃうやつじゃん。
漫画でよく見るシーンじゃん!!!
「は?だから言ってんじゃん?
色目なんか使ってないし、そもそも声かけてきたの
あんたの恋人からだから」
「るせぇ!尻軽女!
人のもの奪っといてぐだぐだ言ってんじゃねぇ!」
「奪ってないし、興味もないし、相手にもしてないよ。
勝手に勘違いして、いちいち絡んで来ないで。」
相澤さんはそう言って歩き出す。
が、しかし、そうは問屋が卸さないってもんで
香水ハデハデ女のリーダーみたいな女が
相澤さんの腕を掴んで壁に押し付ける。
「相澤さぁ?この状況で逃げれるって思ってんの?
お前みたいなやつに味方してくれる奴なんて
いないでしょ?」
「…めんどくさ」
わかるーー超わかる
こういう女の争いって本当にめんどくさいよね。
え?私は何してるかって?
香水ハデハデ女の軍団が道の真ん中にわらわらと沸いてるから購買行こうにも行けないんだよねぇ。
困ったなあ。お腹すいたなあ。
めんどくさいなぁ。
チラッと相澤さんの表情を見ると
少し悲しそうな顔してた。
(あー、、私って本当にお人好しじゃん)
「ちょいと、すみません。お姉さん方」
「あ???」
「1人に対して寄って集ってって
ちょっとずるいと思いません????」
「なに?誰?お前」
「いやいや、名乗る程の者じゃないんですけど
さすがにこれはやりすぎなんじゃないかなって思います」
「は?お前に関係なくね??
相澤の友達??」
関係ないのは重々承知なんだわ。
でも、1人に対してこんな大人数で
詰めるとか最悪じゃん。
「友達っていうか、なんというか
まあ、そんな事どうでもいいじゃないですか?」
「なめてんの?ごちゃごちゃ言ってると
お前も相澤と一緒にシメるぞ!?」
あーめんどくさい。
とてつもなくめんどくさい。
でも、こんな悲しい顔見せられたら
どうにかしてあげたくなっちゃうじゃん。
「…黙れよ。」
「あ??」
「ごちゃごちゃうるせぇのそっちだろ。
いちいち人に絡む暇あんならこんな事してないで
恋人に愛想尽かされないように自分磨きでもしてろよ」
あーーー!!
あーーー!!言っちゃった!
私のバカん!
ほら、相手もう怒っちゃってるじゃん!
ゆでダコみたいに顔真っ赤にしてるじゃんんん
「てめぇ!!ふざけんな!」
香水ハデハデ女のリーダーが顔を真っ赤にして
私に殴りかかってきたので私はそれをひらりとかわして
相澤さんの腕を掴んで走り出す。
本日2回目の全力疾走です。
何事も逃げるが勝ちです。
「相澤さん!走るよ!」
「え?ちょっーー」
後ろでは香水ハデハデ女軍団が
叫び散らかして追ってきますが
もちろんシカトです。逃げます。
ケンカなんてしません。痛いもん。
「テメェら!逃げんな!」
「待てよっ!!!」
しつこいです。
とてもしつこいです。
でも、とりあえず追いつかれないように
しっかり相澤さんの腕を掴んで
死にものぐるいで階段を駆け上がり
近くにあった音楽準備室へ逃げ込んだ。
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「「はぁ、、はぁ、、」」
気温32℃のクソ暑い廊下を駆け抜けて
階段を駆け上がりもう私は汗だくです。
相澤さんもほんのり汗をかいてます。
そりゃ、そうだ。いくら美少女でも
汗ぐらいかきます。人間だもの。
「…危なかったァ」
私はその場に倒れ込む。
まじで今日朝から走ってばっかじゃん。
「…またアンタ」
「あ、どうも。朝ぶりっすね」
「…助けてくれなんて頼んでないし」
「まあ、頼まれてないね。あはは」
「「・・・・・・・」」
音楽準備室は静寂に包まれてます。
そりゃそうだ。
何せ今日初めて話したばかりだし。
(お腹空いた)
そうじゃん、購買に行きたかったのに
なんでこうなった??
今から行ってもさっきの奴らと鉢合わせするのも
めんどくさいし私今日昼飯抜き???
まじ????帰るまでこの空腹と戦うの??
「ねぇ」
そんな事をぐるぐると考えてると
唐突に相澤さんから声をかけられる。
「…え?あ、なに??」
「あんた名前は?」
「え?な、名前?」
「何?名前ないの?」
そう言う彼女の顔は朝見た時より
少し柔らかくて、ああ、彼女はこんな顔も
ちゃんと出来るんだって少しドキドキした。
「…黒沢、春(くろさわ はる)」
「ふーん」
「え?自分から聞いといて、ふーんって、、、」
「うるさい」
「あい。すみません。」
「「・・・・・・・」」
また静寂に包まれる。
窓からふわりと風が拭いて私の肌をなでる。
涼しい。
それと同時に風に乗って相澤さんの
甘い香水の匂いが鼻を掠める。
さっきの香水臭いハデハデ軍団達とは違って
不快にならない程よい匂い。
(あーなんかすごい落ち着く)
心地よくてウトウトしてるとふと視線を感じる。
相澤さんが、じーっと私を見つめていた。
「…そんなに見つめちゃイヤン」
「きもい。」
「あい。すみません」
「ねぇ」
「なんでしょう」
ドンッ
「ふぇ??」
自分でも情けない声がでた。
だ、だって相澤さんがいきなり
お、覆いかぶさってきたんだもん!!
相澤さんの長い栗色の髪が私の頬を掠った。
顔が近い。綺麗。いい匂い。
目が大きい。鼻筋綺麗。唇ぷるぷる
って違う違う!!!
なぜ?なんで?ほわい??
なんで相澤さんは私に覆いかぶさってきてるの?
なにが起きているんでしょうか?
「あ、あいざわさん??」
「…なに?」
「え、あ、いや何?じゃなくて
逆にこっちがこれは何?状態なんですけど、、、」
「ねぇ、ハル。」
「は、はい??」
呼び捨て!?え?まさかの??
なに?あざとくない???
私の童貞心を擽るのずるくない??
さっきから心臓バクバクなのですが
どうしましょう。どうしましょう。
「なんで助けたの?」
「なんでって言われましても」
「答えて」
「えぇ〜〜」
近いです。相澤さん。
無理です。心臓口から出ちゃいます。
この状態で答えろ言われましても困るのですが
「…私と…したいから?」
「はい????」
「私とあわよくばこんな事できるって思ったから?」
待て待て待て。
何がどうでこうなった??
なんで相澤さん泣きそうな顔してる??
「私に優しくすれば簡単にヤラせてもらえると思った?」
「え、ちょ、、、」
「私が誰にでもカラダ許す尻軽女って思った??」
「あいざわさ、、、」
「みんな結局一緒じゃん。私の事顔だけしか見てないじゃん。体だけしか見てないじゃん!!勝手に現れて勝手に助けて、勝手に勘違いして、勝手にーーー」
「相澤さん!!!!」
私は相澤さんの肩を掴んで逆に押し倒した。
「痛っ」
「ごめんなさい!頼む!少し!落ち着いてーーー」
バシッ
相澤さんが私の頬をぶった。
痛いじゃん、、、、
「どうせ皆ヤリたいだけなんじゃん!!
ほら!ヤリたいなら勝手にヤれば!?」
あーもう!めんどくさいってば!!!!!!
「ああ!もう!ちょっと黙れよ!!!」
私は思わず大きい声で怒鳴ってしまった。
ビクッと体を震わす彼女。
傍から見れば私が彼女を襲ってるように見えると思う。
それはまずいのでとりあえず相澤さんの体を起こして
背中を優しくぽんぽんと叩いた。
「…大きい声出してごめん。
でも、少し落ち着いて。」
「…っ」
「まあ、ほら、1回さ深呼吸しよう。
お互いに。」
ぽろぽろと涙を流す彼女にそっと
ハンカチを差し出す。
「とりあえず、これで、あの、その
涙拭いてください。」
おいおい、コミュ障発揮してんなよ私。
泣いてる子の慰め方なんて分かんないよ。
「…ごめん」
ボソッと呟く彼女の目には
まだ少し涙が滲んでた。
うわぁ、ビューティフル!美少女ずるい!
ってそうじゃなくて
「あー、、、いや、うん。
私もなんかごめんね。」
「…違う」
「へ?」
彼女の右手がそっと私の頬に触れた。
え?なに?さっきからなに??
理解が追いつかないのですが。
「血、出てる。」
「え??」
「…さっき叩いちゃった所」
「あーー、、爪掠っただけだし大丈夫だよ。」
なーんだ!血が出てただけか!
びっくりしたよ、まったく。
「「・・・・・・」」
き、気まずい。
相澤さん、泣いてるし
泣かせたの多分私だし。
何が何だか自分でもよく分からない。
女の子の扱い方なんて教えてもらった事ないし
(自分も女なんだけど)お母様、泣いている女の子にどう声をかけたらいいでしょうか。おかあさまああああああ
「…ハルは私とヤリたい?」
「はい???」
「私とヤリたいから私の事2回も助けたの?」
口開いたと思ったら何言ってんだこの人。
「なんでそうなんの?」
「…え?」
「別に私は相澤さんの体目的で助けたとか、そんなつもりはなかったし、なんか気づいたら体が動いてたというかなんというか、、、ははっ、なんて言えばいいのかなぁーー」
「…何?」
「うーん、、、私超絶めんどくさがり屋だけど
よくお人好しって言われるしなんか困ってる人みるとほっとけない性分なんだよ。昔から。」
「……」
「まあ、あれだよ。、多分朝の件もそうだけどさっきの絡まれてるのが相澤さんじゃなかったとしても普通に同じ事してると思う。うん、なんか曖昧な解答でごめんね」
「…ふーん」
さっきまで涙が溢れていた彼女の瞳は
私をじっと見つめる。
「ハルって変な人だね。」
「…相澤さんには言われたくないかな、、」
「…は?」
「あ、すみませんごめんなさい嘘です」
「…ふふっ」
「あ、笑った」
「…は?笑ってないし」
「相澤さん、笑った方が可愛いよ」
「…っ」
耳を真っ赤にしてら睨みつけてくる彼女は
すごく普通の女の子に見えた。
なんていうか、この子は周りの環境が悪すぎて
人を疑う事しかできなかったんだなって思う。
自分の身は自分で守る。守ってくれる人がいなかったから。
本当はすごく優しくて可愛らしい子なんだろう。
ああ、私はすごくこの子を守りたい。
いや、守らなきゃ絶対に。
「相澤さん!私と友達になろう!」
「…友達?」
「そう!友達!」
「…ともだち」
そう呟く彼女の表情が曇る。
何となく理由はわかる。
「相澤さん、もしかして
もし私に好きな人とか恋人ができたら
その人が私じゃなくて相澤さんに靡いちゃうって思ってる?」
「…へ?」
ああ、やっぱり。
彼女は今までそんな事ばかりだったから
友達も作らず独りでずっと過ごして来たのだろう。
「大丈夫だよ。
私、こう見えて人を見る目はあるから!」
「何それ、、」
「それに、最初から他の人に靡くやつなんて
こっちから願いさげだしね!!」
「…ほんと、お人好しだね。ハルって」
「うん!よく言われる!」
「ばーか」
そう言った彼女は少し微笑んだ。
守ろうこの笑顔。20XX年夏。
____続く??
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