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笑顔
笑った顔が1番可愛い、と思うのです。
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はい、みなさんどうもハルです。
今日も今日とて暑いです。
朝からセミが元気にミンミン鳴いてやがります。
毎日よくやるよな、本当。
「ハル!おはよ!」
バシッと背中を叩かれ、思わず
転けそうになる。
「朝から痛いよ、、、怪力ゴリラ、、」
「あ?」
「ウホウホ」
「殺すぞ?」
「あっ、、いやっすみませ、、」
朝から元気な親友、千鶴。
私は低血圧なんだよ、、もう少し手加減してくれよ。
「そういえば、昨日の昼休み何してたの?」
「…ベツニナニモシテナイヨ」
「なんでカタコトなんだよ」
そうそう、昨日昼休みに
香水ハデハデ女軍団に追いかけ回されて
相澤 優璃に押し倒されて泣かれて頬叩かれて
友達になった事はまだ千鶴には言っていないのだ。
「あー今日も暑いよねぇ。最高気温33℃だってよ〜
昨日より1℃高いとか日本どーなってんだ!!」
「あからさまに話題変えんなチビ」
「カエテナイヨ」
「だから!なんで!カタコトなんだよ!」
「い、痛い痛い痛い!!!」
この怪力ゴリラめ!!
頬を抓るなぁあああ!
くそがっっ!!!!
「…ハル、昨日2年生の女子にケンカ売ったでしょ?」
「…えっ」
「部活の2年生の先輩が言ってた。」
「なんてこったい」
昨日の香水ハデハデ女軍団は2年生だったのか。
まさかのせんぱーい!ヤッチマッタヨ。
噂が回るのはとても早いんだネ。
学校って怖い所だね、まったく。
「なんでケンカなんか売ったの?バカなの?
絶対、あんた校舎裏呼び出されてボコボコにされるよ」
「…ははっ。悪いけど負ける気しないわ」
「高校生にもなってケンカするな!」
「自分からは何もしないよ。
高校生活は平和に過ごしたいんだっ!!!」
「どの口が言うんじゃい!!!」
千鶴は私の首に腕を回し、チョークスリーパーを
かけてくる。
「うぐっ!痛い!痛い!痛いです!
ごめんなさい正直に全て経緯を話しますぅ!!」
朝からなんでこんなに
痛い思いをしなければならないのか。
そう、それはこの怪力ゴリラあらため千鶴に
何も報告をしていないからである。
私は諦めて、昨日あった事を千鶴に話した。
「…て、事があったので私はその2年生に
ケンカを売った事になってしまったんですよ。ええ」
「…なるほど。相澤 優璃を助ける為に、、ねぇ」
「言っとくけど、千鶴が思ってるより
相澤さん冷たい人じゃないよ。
ただ、周りの奴らがそうさせてるだけだから。」
「まあ、あの完璧な容姿じゃ
アクセサリー気分で横に連れて歩きたくなるんじゃない?」
「……アクセサリーって」
「ちょ、ハル
そんな怖い顔しないでよ!
あくまでも例えの話でしょ!」
「…分かってるよ」
アクセサリー気分ってなんだろう。
彼女だって1人の人間だ。
そんな扱いされて黙ってるわけいかないじゃん。
なんだかなぁ〜〜。
「まあ、私も相澤 優璃の事良く分かんないけど
ハルがいるなら大丈夫でしょ〜。ちゃんと
守ってあげなよ〜〜」
「適当だなぁ…
言われなくてもそうするよ。」
「ハルがそこまでマジになるの久しぶりに
見た気がするわ、、、」
「あ?私はいつでもマジだよ!
失礼しちゃうわね!!」
「はいはい!
あ、朝練あるから先行くわ!
また後でね〜!!」
「うぃ〜」
怪力ゴリラ(千鶴)は颯爽と朝練へと向かっていった。
朝からよく体動かせるよなぁ〜。
感心、感心。
(今日の1限目なんだっけ)
そうして、今日もこんな感じで
1日が始まるのであった。
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「ふわぁ、眠すぎる」
でかいあくびをしながら靴を履き替えてると
後ろから可愛いけど気だるそうな声がする。
「…でかいあくび。」
「んぁ?」
振り返ると、昨日ぶりの
王道美少女こと相澤 優璃がいた。
うん、相も変わらず朝から美少女。
「あ〜、相澤さん
おはよ〜今日も暑いね〜」
「夏だから当たり前じゃん」
oh!朝からクール。
こりゃ、冷房いらずだね!
「相澤さん、今日1限目なに〜?」
靴を履き替えて、相澤さんと一緒に
1年生校舎へと向かう。
「…ん〜、なんだっけ?」
「え、いや、クラス違うし
私に聞かれても…」
「……ふーん。
ハルのクラスは?何?1限目」
「え〜なんだっけ…」
「ハルも分かんないんじゃん。」
クスッと笑った。
うん、やっぱり相澤さんは笑った方が可愛い。
朝から相澤さんの笑顔見れたのは嬉しい。
やっぱりこの子は普通にしてればよく笑う子だ。
「相澤じゃん。相変わらず綺麗な顔してるよな」
「それな?あれで性格良けりゃ完璧じゃん!」
「いや、でも1回だけヤレるならヤリてぇ」
「それはそう!!!」
相澤さんを見た男子どもがギャーギャー廊下で騒いでる。
なんだこいつら猿か???
チラッと相澤さんをみると
無表情で廊下を歩いている。
(あー、、これが相澤さんの日常なのか)
私は少し悲しくなった。
この子はどれだけこんなひどい言葉を
浴び続けているのだろうか。
「くだらねぇ事ばっか言ってんじゃねぇよ
張り倒すぞくそが」
私は我慢できずそいつらに向かって吐き捨てた。
いきなりそんな事を言われたらもんだから
そいつらは一瞬驚いた顔を見せたが
バツが悪そうにその場を去っていく。
(さっさと教室行け。くそ野郎。
そして二度とこっち来んなくそが。)
そんな事を考えていると不意に
相澤さんは振り返って話しかけてくる。
「…ハルって口悪いよね」
「えっ??」
「もしかして元ヤン?」
「…ははっ」
「図星?」
「さあ、どうだろうね。」
「でも、ハル小さいから
ケンカ弱そうだよね」
「なっ!失礼な!」
「チビハル」
「おいっ!こらっ!」
「ふふっ」
今日の彼女はよく喋る。
そしてよく笑う。
でも、それが私はとても嬉しい。
「じゃあ、私のクラスあっちだから行くわー!
今日も一日頑張ろうね〜!」
名残り惜しいが遅刻してしまうので
私は相澤さんとバイバイして
自分のクラスへと向かう。
後で相澤さんの連絡先教えてもらおう。
私はひとり、教室の前でそう決心した。
20XX年夏。
_______続く
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