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スキルの種
視察を終えてから1ヶ月後に入院施設の建設が始まり、そこから1年後に入院施設が完成した。
完成後間もなく俺は必要な物は入院施設に移し、一緒に働く治癒士の人達にも挨拶をした。
そして俺はこの入院施設を『ミヤシタ院』と名付けた。このミヤシタ院の名前はコーロ地方内に広がり、キッコの街の外からも患者が訪れていた。
このミヤシタ院で働き始めてから約1ヶ月、アレフさんが診療時間の合間に院を訪れた。
「アレフさん、こんにちは」
「うむ、少し邪魔をする」
そう言って、俺はアレフさんを応接室に案内してアレフさんに椅子に座ってもらってい、アレフさんから口を開く。
「このミヤシタ院が開設してから約1ヶ月が経過するが、概ね順調のようだな」
「ええ、治癒士の皆さんもリハビリを覚えてくださいますし、診る患者は増えたけど俺の負担は減ったのかなと思います」
「そうか、実は今日はもう1つ話をもってきた」
「何ですか?」
アレフさんがもってきた話は俺にとっては嬉しい話であった。
「先日、君のスキル情報をもとにようやく最適化のスキルの種が完成したとの報告を受けたのだ」
「本当ですか?じゃあ他の人もこれであのスキルが使えるんですね」
「うむ、だがまだ数も少ないうえにリハビリ知識も十分にある者が使うのが良いのではないかとザリアン殿は考えているのだ」
「そうですよね、あのスキルは重症な状態を取り除くだけで長期間の筋力等の衰えまではカバーできませんからね」
このスキルはあくまで重症な後遺症を取り除くくらいの役割で、その後は結局リハビリが必要になるからな。
「ザリアン殿はまず自分を含む講師予定の治癒士がそのスキルの種を使う事を考えており、他にも治癒士やマカマカ教団の者にも使用したいとおっしゃっている」
「あれ、リハビリ士にはその種は使わないんですか?」
「現状ではまだリハビリ士は育っておらんし、その為の種もこれから量産する予定なのだ」
1つできたからといって、そうほいほい作れるものじゃないんだな。
「ミヤシタ殿、ザリアン殿は見習い期間が終わればミミ殿にもその種を使えないかと考えているのだ。彼女は間近で貴殿のリハビリを見続けてきたからな」
「そうですか、俺も彼女がリハビリに携われるならいいと思います」
「これから少し彼女にもその話をしてくる、それでは失礼する」
そう言ってアレフさんは院をあとにした。それにしてもミミがリハビリか、治療とリハビリそれができるのは心強いな。
少しづつだがいろんな事が変わってきつつある。そしてその夜俺の元にも新しい知らせがまいこんできたのだ。
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