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帰還の時
俺がこの世界に呼ばれた理由、それは治癒魔法を更に発展させ、後遺症を取り除くスキル開発の為だったのだ?だが俺がいくつか疑問が浮かんだのでこの女神ヒュー様にぶつけてみた。
「あの、以前の転移者もそうなんですが、なぜ女神さまが直接そういった魔法やスキルをこの世界に住む人にお与えにならなかったんですか?多分その方がもっと早く広まったと思うんですが」
『神は自ら直接的にその世界に住む人間に力を与える事はできないんです。あくまでも世界の発展や成長を促す為のきっかけ作りしかできないのです』
「そうだったんですか、そうだとしても何故わざわざ異世界から召喚し、その力を与えたんですか?」
『世界が形成された当初はほんの少しのきっかけでとてつもない成長をしました、ですがあなたの居た世界とこの世界では異なる文明が進化しました』
異なる文化、それってまさか……。
『そうです、魔法がこの世界では多く発展し、私もそれに沿った発展を促しましたが、それでも後遺症を取り除く魔法の発展は思うようにはいきませんでした』
「魔法があるがゆえに、リハビリという概念がなかなか発達しなかったんですね」
『ですがあなたが『最適化』に適しており、多くの人の信頼を勝ち得、更にリハビリそのものの教本も作り少しづつですがきっかけを与えてきました』
俺がこの世界にリハビリが根付くきっかけを与えてきたとヒュー様が言っていると、更にヒュー様は驚きの事実を俺に告げる。
『ですから、この世界であなたは十分に役割を果たしたと言えるでしょうし、あなたは元の世界に返しても良いという判断に至りました』
「え?俺が元の世界にですか?」
『はい』
「ですが、俺はまだ入院施設を開いて1ヶ月ほどです、それに講師の話だってあるんです。今帰っても大丈夫なんですか?」
まだ帰るのは早いんじゃないかと思った俺はヒュー様にこの世界で頼まれたことを話すが、それに対してヒュー様が返答をする。
『ユーイチ・ミヤシタ、これからはこの世界の者達がこの世界を良くしていく責務があります。あなたは異世界から来た者としては十分すぎるほどに献身してくださいました』
「……あの、ひょっとしてすぐに帰る事になるんですか?」
『ちょうど1ヶ月後にあなたを元の世界に転移するつもりです。あなたがお世話になった者が多い事は十分理解しています』
「ありがとうございます、お別れの挨拶ができそうなのは何よりです」
もう俺は帰らなくちゃいけないんだな、せめて挨拶だけでもしないとな、それならばまずは……。
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