任せたい者

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任せたい者

健康を司る神ヒュー様より俺がこの世界での役割を達成したとみなし、俺が1ヶ月後に帰還する事になった事が伝えられた。  本当はすぐにミミ達に知らせたいが、まずは()()()に言わなくてはと思い、ゴルさんに頼んで()()()の屋敷を訪れていた。 「しかし、急にわが師を訪れたいとは、もしやスキルの種の事が気になったのですか?」 「ええ、まあ、それが関係ある話ではありますね」  そう話しているうちにゴルさんの師匠であるザリアンさんの屋敷前に到着し、ゴルさんが屋敷の前にいる衛兵らしき人に声をかける。 「すまぬ、少しよろしいか」 「これはゴル様!本日はいかがなさいましたか?」 「こちらのユーイチ・ミヤシタ殿が師へのお目通りを望んでいる。許可をいただきたいのだが」 「はっ!では少々お待ちください」  衛兵さんが一旦、屋敷に戻ってしばらくするとこちらに再度やって来て俺達に声をかける。 「お通しせよとおおせでしたので、是非屋敷にお入りください」 「すまぬな」 「失礼します」  そのまま屋敷に入り別の使用人の案内でザリアンさんの部屋まで移動し、到着すると使用人が扉の向こうのザリアンさんに声をかける。 「ザリアン様、ゴル様とユーイチ・ミヤシタ様をお連れしました」 「入ってもらえ」  ザリアンさんが俺達に入ってもらうよう促すと使用人は扉を開けて、俺達が入室すると使用人は扉を閉めて、ザリアンさんが俺達に声をかける。 「ゴル、そしてユーイチ、今日はどうしたのだ?」 「私は案内したにすぎません、ユーイチ殿が師にお話ししたい事があるようなのです、私は席を外しましょうか?」 「いえ、ゴルさんにも聞いてもらいたいので、その必要はありません」 「ではユーイチよ、私とゴルに何を聞かせたいのだ?」  ザリアンさんに促され、俺は先日健康を司る神ヒュー様から間もなく俺が元の世界に戻る事になった話をするとゴルさんは驚きを隠せないようだがザリアンさんは落ち着いて自分の考えを話す。 「なるほどな、つまりヒュー様は今後は我らがこの世界の人間達の治癒、そしてリハビリを担うべきだとお考えという事か」 「俺の話を信じてくれるんですか?」 「今までの事を思えば信じるほかあるまい、それにわざわざこの話だけをしに来たわけではあるまい」 「はい、多分俺が帰るまでに陛下や領主様にお会いする事はないかもしれないのでザリアンさんから俺の帰還を伝えていただきたいんです」 「無論だ、私が責任を持ってお二方にお伝えしよう」 「陛下には講師ができなくて申し訳ありませんともお伝えください」 「うむ」 「それで、今後のミヤシタ院の事ですが……」  ミヤシタ院でのリハビリを誰に今後ゆだねるかをザリアンさんに相談しようと思ったところ、そこにゴルさんが話に入ってきた。 「ザリアン様、ユーイチ殿、ミヤシタ院での治療、そしてリハビリを私に任せてはいただけないでしょうか!」 「ゴル!」 「ゴルさん⁉」 「私も先日スキルの種を摂取したのでスキルそのものは使用できます、残りの時間でユーイチ殿の指導を受けながらリハビリも身につけたいと思っております」 「ユーイチよ、いかがか?」 「分かりました、ゴルさん、ミヤシタ院をお願いします」 「お任せを」  これで心配のいくつかは解消できそうだ。今度はキッコの街のみんなにお別れの挨拶だな。
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