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二人用AI
ぎゅうぎゅうのエスカレーターを横目に階段を駆け上がり、一段飛ばしで降りる。
上着のポケットからスマホを取り出し、アプリを開く。
(やった、相手より50歩多い)
健康診断の結果が何時も最悪で、そんな矢先、会社から開発中の健康器具を配布された。
開発チームによれば、指輪から使用者の体調のデータを取り、それを元に生活改善メニューが送られる。
だが、多くの人がそのメニューを見るだけだったようで、生活改善がよく似た者同士に同じメニューが送られ、対戦感覚でそのメニューをこなせるように仕様を変更されたという。
(その相手が誰なのかわからないが、毎日、違うメニューというところが面白いな)
「先輩おはようございます」
電車を降り、駅を出たところで、少し小太りの後輩が声をかけてきた。
彼の手には、飲み干した野菜ジュース。
アプリから通知音が鳴り、スマホを開く。
(相手の“野菜を摂る”クリア)
「お先に」と後輩が駆け出し、相手の歩数がぐんぐん増えていく。
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