白のゼラニウムと蜂蜜

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白のゼラニウムと蜂蜜

今から遡ること約10年。 日向が小学生低学年位の話だ。 初めての入学式に緊張しながらも、日向はお母さんに結んでもらった二つ結びの髪型を風になびかせながら好奇心に身を委ねて無事小学校の入学式を終えることが出来た。 双子の兄である太陽は人と話すことは苦手だが、話しかけられると日向並みに動揺したりしてもごもごいう事は無い為か、入学式当日に既に何人か友達を作って帰ってきた。対して日向は、隣の席の絵を描く事が好きという共通の 趣味を持った少女、あざみと仲良くなることが出来た。 「日向ちゃん、すご〜い... 何描いてるの?」 「あざみちゃんのイラスト、ファッションデザイナーの人みたいで凄いね...」 2人とも絵を描くことは好きでよく一緒に昼休みに二人の机を合わせて絵を描く事が日常生活の一部と化していたものの、特に之と言って誰かに見せる等の行動を取るほど自身の描いたイラストに自身がなく見せることは特に無かったという。 だがしかし、ある出来事がきっかけでお互い一時期絵を描くことをやめてしまったことがあった。 それは――― 「おい日向起きてるか?」 夢の内容が普段よりも色濃かった為か、余り耳に入ってこなかったアラーム音が今更ながら鼓膜を刺激するように入ってくる。そして、アラーム音が中々消えないことに少し異変を感じた兄の太陽もやってきた。 「ごめん...」 「否、気にすんなよ 今日は入学式だから緊張してんだろきっと」 あぁ、そうか。今日は 中学...否、間違えた。高校の入学式か。なんで今間違えたんだろう私。 「うん。」 ‘’特に何も緊張してないけど...‘’と服の裾を握りしめながら、 「これから制服に着替えるから向こう行ってて」 と言い兄を部屋から追い出し、カーテンを引いて伸びをしながら太陽の光を浴びる。 「高校で新たに会うメンバーに、仲良くなれる人が居ますように」 と呟いた。               * 「あっついな今日...」 朝ご飯を胃袋に突っ込んだ後なのかどうかは分からないが、感覚的に膨れてるからこれは飯食ったっしょという適当な勘で、8時丁度に学校に余裕で間に合う位のペースで自転車を漕ぐ。 ‘’ 今日で日向ちゃんも高校生か〜 ‘’        ‘’ 高校こそはクズが居ないと良いけどねぇ,,, ‘’ と、買い物途中に偶然知り合いと会って話が長引いているおばさん同士のような会話をしている成人2人。うるせえなと思いながら自転車を漕ぎ続けているが、‘’流石に緊張している日向に対してこいつら能天気すぎだろ‘’と思いつつ話に俺も一緒に混ぜてほしいと思ってしまう自分がいる。 「でも今混ざったら高確率で不慮の事故に巻き込まれかねないし、入学式早々こんな目に遭ったら主の日向が一番不憫な思いをすんのか...」 周りには誰も居ない。いるとしたら交通期間を利用する自動車のみ。主の代わりにと言ったら少し意味が変わるがあながち意味は間違ってないし...と1人の少年(?)が独り言をぼやく。 「そういや何で俺スカート...あ、日向が女だからか。」 一人コントを披露しながら、少年(?)は‘’日向‘’の学校へと向かった。
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