チンコ欲しい

1/1

11人が本棚に入れています
本棚に追加
/65ページ

チンコ欲しい

「あー、チンコ欲しい」 (あきら)は残りわずかなダイエットコークをゴボゴボと音を立てながら飲み干す。 「またか・・・」 もう何度も聞いたよという仕草で相槌を打つ(さとる)。 「なあ悟、なんで私にはチンコが無いんだよ!」 「女だから」 「それが納得できないって言うのよ、いいじゃない女に有ってもさ~!」 「はいはい、もう帰ろうよ」 悟は二人分のハンバーガーの包み紙や紙コップをトレイに集めて、帰り支度に取り掛かる。 晶と悟の双子姉弟は、時々下校の寄り道でマックに行っては晶の「チンコ欲しいトーク」に悟が付き合う。 2人が店を出た瞬間。 「おう、待てや」 頭の悪そうなチンピラ2人組が声を掛けて来た。 「何よ?」 「何じゃねえよ、店の中でチンコチンコと連呼しやがって」 「お前、ヤリマンなのかよ?じゃあ俺たちの相手してくれよ、げへげへ」 「またか・・・」 若き女子中学生がTPOもわきまえず性器の名前を連呼すれば、周囲の男性の性的興奮を誘ってしまう。 興奮した男が時々、晶に声を掛けてくる。それは悟にとってたまにある事で、もう慣れっこだった。 「そんなヒョロヒョロの小僧より俺たちと遊ぼうぜ」 「馬鹿じゃないの?これは弟よ」 「こんな奴らに説明しなくていいよ」 「あーん!やっちまうぞコラァ」 「とりあえず、俺の車に詰め込んじまおうぜ」 チンピラAが晶の肩に手を掛けた瞬間。 「あばばばばばばばばばばばばっっっっっーーーーーーーー!!」 チンピラAは絶叫を上げ白目をむいて倒れてしまった。 「ななな、てめえら!何を、うべべべべべべべべーーーーーー!!!」 チンピラBも絶叫を上げ白目をむいて倒れてしまった。 チンピラ二人組は完全に気を失っている。 「電圧上げ過ぎたかしら」 改造スタンガンの火花を散らせながら呟く。 「また電圧上げたんだね。ほどほどにしとかないと死んじゃうよ」 悟はこの光景も何度か見ていて慣れている。 「全くこういうカス共は絶滅して欲しいわ」 「いや、姉ちゃんも悪いからね。やたらめったらチンコ欲しいとか言うからだよ」 「はぁぁぁ」 晶は大きくため息をつく。 「私はね、チンコを入れて欲しいのじゃないの。チンコを着けて欲しいのよ!!そんな事も分からないの?全く!!」 「誰も分からないよ」
/65ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加