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弟に相談だ
姉妹でマックに寄り道している。
「てな事があってさあ、大変だったよ」
シェアしているフライドポテトをつまみながら、昼食時の出来事を悟に話す晶。
「ふーん・・・バレー部主将の小島さんが姉ちゃんと?へー」
「もっと驚きなさいよ、男子の好きな人ランキング1位の彩と、男からも女からもモテモテボーイッシュ女子の小島さんの両方が私の友達なのよ」
「姉ちゃんが友達作るの意外だよね」
「別に一人でいたい訳じゃなくて、浅い付き合いって無駄に感じるのよ。ちゃんと向き合える関係なら、ウエルカムよ。小島さんの事はまだよく分からないけど真剣な感じだったし・・・可愛いし」
「顔かよ」
「いいでしょ、別に」
会話が途切れたタイミングでそれぞれジュースとポテトを口にする。
会話再開の切り出しは悟からだった。
「姉ちゃんは松井さんや小島さんが好きなの?」
「つまんない事聞くわね、好きに決まってるじゃん」
「どういう意味で?」
「どういう意味?質問の意図が分からないわ」
「ちゃんと本命は決めておいた方がいいよ」
「何言ってるの、友達に本命も何も無いっての」
なんだろう、僕は何言ってるんだろう。だけど確信がある。
「姉ちゃんには不思議な力が有る・・・と思う」
「何々?どうしちゃったの悟」
「たぶん、小島さんは始まりに過ぎない。これから先、姉ちゃんの元には美少女が集まってくる」
「さ、悟・・・どうしちゃったの?」
「ちゃんとその中から、1人の本命を選ぶんだよ」
「ホントにどうしちゃったの悟!悟がおかしくなった」
「姉ちゃんに言われるとイラっとくるな」
「コ、コーヒー奢ってあげるわ。それで落ち着くのよ」
ガタっと椅子を引いて勢いよく立ち上がる晶、周囲をよく見ていなかった。
「きゃっ」
晶の後ろを通行していた者とぶつかり、その者はジュースを床にこぼしてしまった。
「ああ!ごめんなさい」
「全く、姉ちゃんはそそっかしいんだから。すいません、服は濡れていませんか?」
姉弟でぶつかってしまった者に謝罪する。
「い、いえ・・・あの」
ジュースをこぼされたその者は怒っている様子が無い。
「すいません、私のせいです。ジュース弁償します」
「姉ちゃん、僕もお金出すよ」
「いえ!それより・・・私もそこに座っていいですか?」
「え?」「え?」
姉弟そろって同じ反応になる。
「私、印西中学3年の秋本佐江っていいます。その制服は蘭世中ですよね。たまにお二人をここで見かけていて気になっていたんです。せっかくだからお話して、出来れば友達になりませんか?」
「は、はあ・・・」
晶は急に距離を詰めて来た秋本に対して警戒しているが、申し訳ない手前断りづらい。
「さあ、どうぞ」
一方の悟は椅子に置いていた通学鞄をどけて、淡々としている。
「悟いいの?」
「別にいいと思うけど?嫌なの?」
「いや、悟がいいなら私はいいけど・・・あ!そういう事か」
「どうしたの?まあそれより、秋本さんだったかな?どうぞ」
「ありがとうございます」
秋本佐江が空いた椅子に座った。
大胆に距離を詰めて来た秋本に対して姉弟はそれぞれ
(ははーん!この子、悟の事が好きなのね。まあ仕方ないか、悟は姉から見てもイケメンだからね。よし、私が一肌脱ぐとしますか)
(姉ちゃんの特性が発動したのか。いよいよ止まらなくなってきたな)
と思っていた。
「悟、私に任せなさい!」
グッと親指を立ててポーズを決める晶を見て
「やっぱり何にも分かってないなあ、はぁぁぁ・・・」
悟は深く溜息をついた。
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