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全部、晶のせい①
晶と悟、二人そろって登校中。
「晶~、悟君、おはよう」
松井彩が朝の挨拶と共に駆け寄って来た。
さすが男子が好きな女の子ランキング1位の彩は、朝から輝いている。
爽やかで魅力的なオーラを纏う彩、悟も15の男の子。その雰囲気にあてられてメロメロに・・・ならない。
悟は彩の本心にとっくに気づいているから。
「じゃ」
「え、悟?」
一言、告げると悟は突然ダッシュで晶と彩の前から消え去った。
「悟の奴、なんか彩の事避けてない?いつもああだよね・・・まさか彩の事が好きだから照れ隠し⁉」
「違うから、へんな勘違いしないで晶。悟君は気を利かせてくれているの」
「何の?別に3人で学校に行けばいいのに」
「私は晶と2人がいいな」
「ふーん、ああ!そう言えば昨日の放課後にマックでさあ・・・」
晶は秋本佐江との出会いを話した。そう、言うべきでは無かったのに・・・
「は?」
今朝は晴れていた、雲一つない晴天だったのに・・・黒雲が上空を覆う。
黒雲はゴロゴロと唸り、今か今かと雷を落とそうとしている。
「おっかしいなー、今日は雨降らないって言ってたのに、急に曇ってきたじゃん」
「晶のせいだと思うよ・・・」
「ど、どうしたの・・・彩?メデューサみたいに髪が・・・蛇みたいに唸ってる・・・」
「晶のせいだと思うよ・・・」
「さ、彩ってさ・・・喋ってると急に雰囲気変わる事あるよね」
「晶のせいだと思うよ・・・」
「と、特に最近はよく豹変するよね・・・」
「晶のせいだよ!!」
「わわ、私ぃ⁉」
「どういう事!昨日だけで2人も友達が増えたとかおかしくない⁉」
「確かに昨日は凄い偶然が重なった日になったねぇ」
「偶然じゃないよ、晶が引き寄せているの」
「またまたぁ」
「晶には私がいるんだから、引き寄せないで!」
「だ、だから引き寄せて無いって。それに女の子が女の子の友達作るの、よく考えたら普通じゃない」
「晶は普通じゃないの!」
「なんか、凄くけなされた様な」
「いいの、そこが晶の魅力なんだから」
「そうなのかな」
今まで晶は学業や運動レベルは普通で目立たなかったし、友達を積極的に作らない性格もあってほぼ独占出来ていた。
しかし、ここにきてライバルが現れ出している。
もう、うかうかしてられない。
「晶、今日の夕食は招待するから一緒に食べましょう」
「え?なんか今日あったっけ?」
「いいから!理由なんかないわよ」
「彩の家、ザお金持ちの家って感じであんま落ち着かないんだよなあ」
「なんか言った?」
「何にもありません」
「楽しみにしてるね」
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