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全部、晶のせい②
「久しぶりだね、晶と一緒に帰るの」
「まあ、彩は部活あるからなあ」
日が沈みかかった坂道を二人で昇り、彩と共に松井家に向かう。
高台の高級住宅、彩の両親は共に厳格な性格なのでフリーな性格の晶は少々苦手にしている。
「なあ、急に行っても迷惑だろうしやっぱり帰ろうか?」
「今更、何言ってるの。もう晶の分も用意してあるのよ」
「そ、そうか・・・」
「ねえ、それより晶」
「何?」
「こうして二人で歩いていると恋人同士みたいだね」
「まあ、違うけどな」
「・・・晶、そこは空気を読んで『そうだね』って言うとこだよ」
「そうなの?」
「そうよ、やりなおしね。こうして二人で歩いていると恋人同士みたいだね」
「いや、あの・・・」
「晶ぁ!」
晶と彩の身長差は殆どないのに、彩は上目遣いで目をキラキラさせながら晶に迫る。
「わ、分かったよ」
同性と言えど、ときめかざるを得ない可愛さだ。
「じゃあ、最初からね。こうして二人で歩いていると恋人同士みたいだね」
「そそ、そうだ・・・ね」
「何で噛むのよ、もう一回」
「もういいでしょ」
「ダメ、こうして二人で歩いていると恋人同士みたいだね」
「ソウダネ」
「なんか、気持ちが感じられないわ。もう1回・・・」
「うえーーー!」
「こうして二人で歩いていると恋人同士みたいだね」
「そうだね!!!私もそう思う、こんな可愛い彼女がいて私は幸せだぁぁぁ!」
「晶ぁぁぁ」
至福かつ、満面の笑みの彩、一方晶は凄く憔悴している。
「・・・なんか凄くお腹が空いた」
「あら、じゃあ急ぎましょう」
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