全部、晶のせい②

1/1

11人が本棚に入れています
本棚に追加
/65ページ

全部、晶のせい②

「久しぶりだね、晶と一緒に帰るの」 「まあ、彩は部活あるからなあ」 日が沈みかかった坂道を二人で昇り、彩と共に松井家に向かう。 高台の高級住宅、彩の両親は共に厳格な性格なのでフリーな性格の晶は少々苦手にしている。 「なあ、急に行っても迷惑だろうしやっぱり帰ろうか?」 「今更、何言ってるの。もう晶の分も用意してあるのよ」 「そ、そうか・・・」 「ねえ、それより晶」 「何?」 「こうして二人で歩いていると恋人同士みたいだね」 「まあ、違うけどな」 「・・・晶、そこは空気を読んで『そうだね』って言うとこだよ」 「そうなの?」 「そうよ、やりなおしね。こうして二人で歩いていると恋人同士みたいだね」 「いや、あの・・・」 「晶ぁ!」 晶と彩の身長差は殆どないのに、彩は上目遣いで目をキラキラさせながら晶に迫る。 「わ、分かったよ」 同性と言えど、ときめかざるを得ない可愛さだ。 「じゃあ、最初からね。こうして二人で歩いていると恋人同士みたいだね」 「そそ、そうだ・・・ね」 「何で噛むのよ、もう一回」 「もういいでしょ」 「ダメ、こうして二人で歩いていると恋人同士みたいだね」 「ソウダネ」 「なんか、気持ちが感じられないわ。もう1回・・・」 「うえーーー!」 「こうして二人で歩いていると恋人同士みたいだね」 「そうだね!!!私もそう思う、こんな可愛い彼女がいて私は幸せだぁぁぁ!」 「晶ぁぁぁ」 至福かつ、満面の笑みの彩、一方晶は凄く憔悴している。 「・・・なんか凄くお腹が空いた」 「あら、じゃあ急ぎましょう」
/65ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加