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暴走モード
自宅リビングでゴロついている悟のスマホがピコン♪と鳴った。
「母さん。今、姉ちゃんからLINE来たよ。これから帰るってさ」
「もう、あの子は・・・悟、暗いし心配だわ。迎えに行ってきて」
「必要無いよ」
「最近、このあたり物騒なのよ。女の子1人なんて危ないわ」
「女の子ならね」
松井宅を出て晶は一人、坂を下り住宅街を通り抜け自分の家へと向かう。
急いで帰ろうと晶は、近道の人通りの少ない暗い方へ進んだ。
そう、まさしく若き女性が性的被害にあってしまうフラグが立ってしまう!
晶が道を進んだ先には・・・やはり・・・いた、いてしまった。
帽子とマスクで素顔を隠し、初夏なのに冬物コートで全身を覆う者がいた。
「なんだあれ?」
その異様な姿は晶の目に、もちろん留まる。
全身コートの者は晶との距離を詰めて来た。
「・・・・・・・」
無言のまま、詰め寄って来るコート男を凝視する晶。
「ふぅふぅふぅ・・・」
晶の目の前にコート男は立ち塞がった。マスク越しに息が漏れている。
「何?どいてくれる?」
「はぁはぁはぁ、お嬢ちゃん、可愛いねえ・・・げへへへ」
「邪魔なんだけど」
「うーん、中学生かなあ、君にいいモノを見せてあげよう、うへへへへへ」
「やれやれ」
「ほーーーら、ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーー!!!」
コート男はコートを広げようと、両手をコートに掛けた瞬間、絶叫と煙を上げて倒れた、完全に気を失っている。晶お馴染みのお手製改造スタンガンが炸裂していた。
「ばーーーーーか。さて、と」
晶はコート男からコートをはいだ。
やはりコート以外は何も身に着けておらず、帽子にマスクで全裸の男が気絶してアスファルトの上で寝そべっている。
「貴様には無用の長物だ、私が有効活用してやろう」
晶が男のシンボルに触れようとしたその時・・・
「何やってんの、姉ちゃん」
「悟・・・」
結局、迎えに来ていた。なんだかんだで姉の身が心配だったのだが、別の意味で迎えに来て良かったと思う悟。
「こいつのチンコは私がいただく」
「そんな奴の、身に着けたら全身腐っちゃうよ」
「そうなのか?」
「うん、姉ちゃんが求めるチンコはそれじゃないよ。きっとシンクロしないね」
「確かにシンクロ率は大事だからなあ」
ふざけた会話に聞こえるだろうが、晶は魂の叫びに従った行動だし悟は姉の手があんなモノに触れてしまう事をなんとしても阻止したいので、それぞれ至って真剣だ。
「くそ、私のダイの剣はどこにあるんだ⁉」
「ロンベルクさんに作ってもらおう」
「それしかないのか・・・んじゃ、帰ろうか」
晶は剥ぎ取ったコートに改造スタンガンをMAXで放出、飛び散った火花から着火しコートはメラメラと燃えてなくなった。
「この人、ほっといていいの?」
「大丈夫よ、もう夏だし」
「そうだね」
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