弟は辛いよ

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弟は辛いよ

とある平日、悟一人で登校中。 いつもの様に狙いすまして、彩が合流してくるが晶がいない。 「あら、悟君おはよう・・・晶は?」 「体調不良と生理痛が酷くて休み」 「ええええ⁉・・・そ、そんな・・・命の心配は⁉」 「いや、大げさな」 「わ、私も眩暈がしてきたわ、帰ろうかな」 「もうすぐ定期試験だよ、テニス部も最後の夏だよね。休んでいいの?」 「ぐ・・・・そ、そうだったわ・・・」 「定期試験でいい点とってテニスで活躍する松井さんが好きって姉ちゃん言ってたなあ・・・」 「ほ、ほんとに⁉そうか、そうね。将来的展望を見据えて今日は我慢するわ」 (学園1の人気者もちょろいな) 「どうかしました?」 「いえ、何にも」 そして、昼休み。 「貴方が悟君」 「そうだけど、小島さん・・・だよね」 「ああ、晶さんとは最近からだけど特に親しくさせてもらっているよ」 「は、はあ。で、用は何ですか?」 「晶さんが体調不良で休みと聞いたんだけど・・・」 「そうですよ」 「見舞いに行こうと思うのだがいいかい?」 「大した事無いんで結構ですよ」 「私が心配なんだ、ぜひ行かせて欲しい」 「小島さん、バレー部はいいんですか?」 「う・・・いや・・・まあ1日くらいなら・・・」 「主将なのに?」 「うう・・・」 「姉ちゃん、ガサツだけどサボリって嫌いなんですよ。そんな事までして来られても好感度下がりますよ」 「ううう・・・く、くく!せ、せめてよろしくと伝えておいてくれ」 (学園2の人気者もちょろいな) 「どうかしたのかい?」 「いえ、確かに姉ちゃんに伝えておきます」 そして放課後、やれやれと一人で下校しようとすると校門で秋本佐江が待っていた。 (そう言えばもう一人いたな・・・) 「あの、悟君」 「姉ちゃんの事?」 「う、うん。LINEしたら今日は休むってきたからビックリして、お見舞いに行きたいけど断られちゃって・・・家分からないし」 「で、僕を待ってた訳だ」 「そうなの、連れて行ってくれないかしら」 「いや、姉ちゃんの事思うならそっとしてあげて欲しい。いきなり来られても困ると思うよ、断られているなら尚更だよ」 「そんな事無い、きっと私が行けば喜んでくれるし元気になるわ」 「・・・そうだとしても、家には母さんもいるし都合ってものが有るから、いきなり来られるのはやっぱり困るよ」 「じゃあ、悟君がお母さんを説得してよ」 (姉ちゃんが家を教えない理由が分かった) 「早く、晶の家に行きましょう」 「ふー・・・やれやれ」 「な、なによ・・・」 「のらりくらりじゃ、終わらないからハッキリ言うね。僕は君が苦手だ、もうあんまり話をしたく無いし、これで失礼するけどついてこないでね」 「なななな・・・・どういう事よ⁉」 「話して分かるタイプじゃなさそうだし、説明も拒否します、じゃ」 悟は駆け出した。呆気にとられた秋本は追いかける事が出来ず立ち尽くしていた。 そして・・・ようやく家に到着。 「ただいま~」 「あ、悟お帰り~」 すっかり回復していた晶はリビングでゲームをしていた。 「姉ちゃん」 「何よ」 カートレースゲームに夢中の晶は画面からは目を離さず、相槌だけ打つ。 「姉ちゃんも大変だね・・・」 「と、突然何よ」 ゲームを一時停止して悟の方を見る。 「だけど僕も大変なんだよ」 「だから何が?」 「晩飯まで寝る」 悟はソファに倒れ込むと数秒で寝息を立て始めた。 「何のこっちゃ」 晶はゲームを再開した。
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