保護者面談

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保護者面談

今日は保護者面談、晶と悟それぞれの担任の元に向かう母。 「初めまして、担任の山田洋子と申します」 「初めまして、悟の母です」 「では早速、悟君ですが・・・」 「はい」 母は堂々としている、心拍数にも変化が無く平常心だ。 「本当に順調そのものという表現がぴったりかと思います。先の定期試験も185名中6位と上々の成績ですし、運動能力テストも同様に上位でした。クラスの出し物でロミオとジュリエットをやったのですが、主役のロミオもまた様になっていましたねえ」 「そうですか、順調に過ごしているのなら何よりです」 悟の評価は毎年ずっとこうだ、悟の子育てで苦労した事は殆どない。 「ただ・・・あえて、強いて言うのであれば、の話なんですが」 「は、はい」 母は、予想とは違う展開になり戸惑う。 「成績も上位、他の事も優れているのに進学希望校は公立のⅠ類のみ、将来の希望や目標も無いと話しているのはもったいない気もします」 「そうですね・・・それは先生の言う通りかも知れません。またあの子と話をしてみます」 「お願いします」 少し予想から外れた話も出たが高評価に変わりはない。 母の不安はこれからだ、2つとなりのクラスに移動する。 「初めまして、担任の柏木真由美と申します」 小太りの体型で見た目からベテラン教師の様に母は見えた。 「初めまして、晶の母です」 「では早速、晶さんですが・・・」 「は、は、は、はい」 母はビクビクとしている、心拍数はジェットコースターの様に変化する。 「成績や運動テストは平均点あたりで特に問題は無いのですが・・・」 「ですが?」 「最近やたらと晶さんについての噂が生徒間で話題になっています」 「う、噂、どの様な?」 「いくつかある中で・・・」 (いくつもあるんだ) 「特に気になるのが、晶さんがよく男性器の名称を呟いているというものでして・・・」 (あの子は~~~!!あれほど学校では止めなさいと言ったのに・・・!!) 「あくまで噂でして、その・・・確認しづらい問題でもありますので・・・」 「そそ、そうですね。家ではその様な事、まま、全く見られませんが、改めて注意しておきます」 「お願いします、では・・・」 (ひ~、次は何なの~) 「晶さんが他の女生徒に対していかがわしい行為をしているという噂があるんです」 「え?」 「対象は校内でも人気のある女子との事で、一方的に晶さんが迫っているとの事です。もう少し節度をわきまえていただかないと・・・」 オドオドしていた母の表情が真顔に戻る。心拍数も平均値で固定された。 「先生それは確かな証拠や事実の元、私に話していますか?」 まったりおっとり系女子。それが母を表すに適している言葉だが、今は低く冷たい声で柏木に尋問の様に話している。 「え・・・いや・・・」 雰囲気が一変した、母に対してたじろぐ柏木。 「晶が他の子より変わった性格な子である事は確かです、男性に対しては暴力的になる欠点も把握しています。だけど晶は不誠実な事をする子ではありません。むしろそういう根も葉もない噂から、あの子を守っては頂けないのでしょうか?」 「あー、いや・・・その・・・」 「親バカと仰るならそれも結構、もしも晶が噂通りの事をしていたのなら私は床に手をついて謝り、どうとでも責任を取ります。しかしそうでないなら、私はあの子を信じていますし、何が有っても守ります、貴方も教師として成すべき事をなさってください!!」 「は、はい・・・」 「私の言ってる意味本当に分かっています?」 「は、は、はい」 「分かりました、しばらくは様子を見させて頂きます。それでは今後もあの子の事、よろしくお願いいたします」 一礼し学校を後にした。その帰り道・・・ 「母ちゃん母ちゃん!」 晶とばったり遭遇した。 「あら、晶何してるの?」 「いやあ、伝説の秘宝アトランティスを探してたのよ」 「要するにチンコの事でしょ」 「かかかかかか、母ちゃんがちち、チンコって言うなんて⁉」 「ふふ、大人を舐めるんじゃないわよ」 「お、おう」 「せっかく会ったんだし、一緒に帰りましょう」 「うん、あ、そういえば保護者面談どうだった?」 「とってもいい子だから問題無いってさ」 「やっぱり」 「悟の事よ」 「あ・・・そゆ事ね」
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