予測変換

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「ただいま~」「ただいま~」 晶と悟の声が見事にシンクロしている、双子のなせる技なのか。 「おかえりなさい」 優しい口調で二人に応える母。 「晩飯何?腹減った~」 「もう、貴方ももう15。高校受験でしょ、その言葉遣いもう少しどうにかならないのかしら」 母は顎に手をやって困った表情をしている。 「無駄だって」 淡々と話す悟。 「まあいいわ、それよりもうすぐ定期試験でしょ。ちゃんと勉強しなさいよ」 「へ~い」 「うん」 リビングにテキスト、ノートを広げて勉強を始める晶と悟。 集中して勉強している2人の邪魔をしない様に、そーっと母は買い物に出かけた。 カリカリカリ・・・っとシャーペンで書き込む音だけが流れる空間。 「あ・・・漢字分からない・・・死者を弔うという意味のチョウテイってどんな漢字だったかな?」 悟は胸ポケットに手を差し込んだが、そこに有る筈のスマホが無い。 「あれ?あー、充電してるんだった。姉ちゃんちょっとスマホ貸してよ、漢字調べるから」 「あいよ」 ぽーんと投げられたスマホをキャッチする悟、ロックパスワードは知っているので聞かない。 「えーっと・・・チ、チ・・・⁉・・・はぁぁぁ⁉」 「どうしたの?さっさと調べなさいよ」 「姉ちゃんのスマホ、「ち」と入力したら予測変換が『チンコ』『チンコ欲しい』『チンコ着ける方法』とか出るんですけど!!」 「だから何よ?」 「いっつもこんな事検索してるのかよ!」 「悪い?」 「悪いわ!姉ちゃん、絶対スマホ落とすなよ!!」
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