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秋本佐江 本格編③
印西中学近郊、本通りから1本外れた人気のない通りにて。
「おう、ちょっとツラ貸せや」
「えっ、なな、なんですか・・・ってあんたは・・・確か、佐江と一緒にいた」
幸一の前で仁王立ちしている晶。
「私の事は晶って呼んでよ、あんたの名前は?」
「か、加島幸一だけど・・・」
「そ、加島君はさ。佐江とどういう関係?佐江の事好きなんだよね?」
「そんな事、初めて話すあんたに言える訳・・・ぎゃぁぁぁ!!」
晶の改造スタンガンが炸裂し幸一は膝から崩れた。
悪人退治ではないので晶なりに電圧を下げたつもりだが、改造のし過ぎでそれでもかなりの威力だった。
「安心せい、峰打ちじゃ」
「何言ってんだよ、あんた、いきなりまともじゃねえよ」
痺れが残っていて幸一は立ち上がれない。
「ごめんごめん、ほんとにチクっと刺激を与える程度のつもりだったんだけどさ」
「落雷を受けた気分だよ!」
「まあ、それはさておき、私の質問にちゃんと答えなさい。悪い様にはしないから」
「もう、悪い様になってるよ!」
「・・・今度はMAXの電撃食らってみる?」
バリバリと音を立てて放電するスタンガンを見せつける。
「は、話します」
二人は話の場所を公園に移した。
「佐江と俺はさ、小学校の時から仲が良くてさ。中一になった時にそのまま付き合い始めたんだ」
「ほう」
「もう、最初は嬉しくてラブラブ・・・ぎゃあああ!」
また改造スタンガンが炸裂、今度はさっきよりさらに電圧を下げたがまだかなりの威力らしい。
「何すんだよ!話しているじゃないか」
「ごめんごめん、なんかノロケにイラッと来たから。続けて」
「もう止めだよ、あんたなんかに・・・」
バリバリバリバリバリィィィィィィィィィィ!!
スタンガンを放電させる晶。
「続きをどうぞ」
「・・・はい、で佐江と付き合ううちに分かったんです。あいつ、悪気はないと思うんですけど超自己中なんですよ。もう例えを上げたらキリがないくらい、それでも好きだから1年間頑張ったんですけど・・・限界が来て」
「別れたんだ」
「はい、でも僕は別れたつもりはありません」
「どゆこと?」
「我慢の限界が来た時『いい加減にしろ』ってみんなの前で・・・その・・・ビンタしちゃって、ぎゃああああああああああ!!!」
またまた改造スタンガンが炸裂、今度はしっかり電圧上げた晶。
「女の子を殴った罰です」
「は、はい」
「では続けなさい」
「その・・・もう、それ(スタンガン)勘弁して下さい。怖くて話せないです」
「仕方ないわね、だけど無言回答だと、またやるからね」
「拷問だよ」
「続きをどうぞ」
「その出来事依頼、佐江は俺の事避ける様になって」
「当然よ」
「俺もどうしようも出来ずにいた時に、ある噂が立つようになったんです」
「蘭世町のマックによく通う様になったってやつ?」
「そう、印西にもマックはあるのに」
「ふーん、そこから先は説明いらないわ。それより加島君は佐江とはヨリを戻したいのね」
「ま、まあ」
「おいおい、そこはシャッキリ答えようや、男だろ!!ビリっいっとく?」
「戻したいです!」
「もっと!大きな声で!!」
「戻したいです!!」
「だってさ」
「え?」
晶の視線の先・・・公園の遊具の陰には秋本佐江の姿が有った。
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