悟VS良信①

1/1

11人が本棚に入れています
本棚に追加
/65ページ

悟VS良信①

悟はまた良信に会いに来た、もう来ないと自分でも思っていたのに。 「おー、たしか・・・この前、魂がどうたらこうたらとか言ってた少年だよな。もう来ないと思ってたんだが・・・どうした?」 ぶっきらぼうな口調がやはり合わないと感じる悟。だが今来たばかりで帰るつもりは無い。 「すいません、また来てしまいました。僕とお話いいですか?」 「いいぜ、いつでも暇だからな。名前、なんて言うんだ?」 「・・・悟です」 「じゃあ、サトだな。俺はシンで」 「わかりました、で最初に確認しておく事なんですけどシンさんは、仏教についてどう考えているんですか?」 「すごい曖昧だけど究極の質問だな」 「そもそも仏道に関心無い人と話すだけ時間の無駄ですから。僕はそこらへんの一般人の価値観が聞きたいんじゃないんです」 「サト、おめぇそこらへんの学生じゃないな」 「僕の事はいいんで質問に返答願います」 「そうだな、そこに関しちゃ真面目に向き合っているつもりだよ。じゃなきゃこんなボロ寺継いだりしない。俺は俺の仏道を求めている」 「なるほど・・・じゃあ、お経ってあれ何なんですか?どういう意味なんでしょうか」 「知らん」 「またそれか」 「そんな質問で俺を試したつもりか?そのへんはまだガキだな、単純に意味だけ知りたいならネットでも見とけ。経典はテキストじゃねえ、書いてる事の意味だけ知ってお終いなら、毎日毎日唱えたりしない」 「では、なぜ毎日唱えるのですか?」 「分からないからだよ」 「『分からないということが、分かった』ソクラテスでしたか?無知の知って奴ですよね」 「そう、諸行無常だの色即是空だの、それらしい言葉が欲しいか?それでサトは納得するのか?」 「いえ、試すような事をしてすいませんでした」 「いいよ、サトって素直なヤツだな」 「改めて僕の話を聞いてもらえますか?」 「いいよ、サトの話は面白そうだ」
/65ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加