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悟VS良信①
悟はまた良信に会いに来た、もう来ないと自分でも思っていたのに。
「おー、たしか・・・この前、魂がどうたらこうたらとか言ってた少年だよな。もう来ないと思ってたんだが・・・どうした?」
ぶっきらぼうな口調がやはり合わないと感じる悟。だが今来たばかりで帰るつもりは無い。
「すいません、また来てしまいました。僕とお話いいですか?」
「いいぜ、いつでも暇だからな。名前、なんて言うんだ?」
「・・・悟です」
「じゃあ、サトだな。俺はシンで」
「わかりました、で最初に確認しておく事なんですけどシンさんは、仏教についてどう考えているんですか?」
「すごい曖昧だけど究極の質問だな」
「そもそも仏道に関心無い人と話すだけ時間の無駄ですから。僕はそこらへんの一般人の価値観が聞きたいんじゃないんです」
「サト、おめぇそこらへんの学生じゃないな」
「僕の事はいいんで質問に返答願います」
「そうだな、そこに関しちゃ真面目に向き合っているつもりだよ。じゃなきゃこんなボロ寺継いだりしない。俺は俺の仏道を求めている」
「なるほど・・・じゃあ、お経ってあれ何なんですか?どういう意味なんでしょうか」
「知らん」
「またそれか」
「そんな質問で俺を試したつもりか?そのへんはまだガキだな、単純に意味だけ知りたいならネットでも見とけ。経典はテキストじゃねえ、書いてる事の意味だけ知ってお終いなら、毎日毎日唱えたりしない」
「では、なぜ毎日唱えるのですか?」
「分からないからだよ」
「『分からないということが、分かった』ソクラテスでしたか?無知の知って奴ですよね」
「そう、諸行無常だの色即是空だの、それらしい言葉が欲しいか?それでサトは納得するのか?」
「いえ、試すような事をしてすいませんでした」
「いいよ、サトって素直なヤツだな」
「改めて僕の話を聞いてもらえますか?」
「いいよ、サトの話は面白そうだ」
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