11人が本棚に入れています
本棚に追加
/65ページ
悟VS良信②
悟は語りだす。
「僕には双子の姉がいるんですけど・・・やたらとモテるんです、女性に」
「女に?姉なんだから、女同士になるよな」
「ええ」
「そんな美人さんなのか、まあサトも顔がいいもんな」
「いや、そういうんじゃないんです。男にはモテないし、女性だけ寄ってくるんです。姉ちゃんも寄って来る女性もレズビアンではない、普通の女性なのに恋愛対象として姉ちゃんに近づいてくるんです」
「なるほど、不思議な話だ」
「そして、僕はその現象をなぜかちっとも不思議に感じないんです」
「不思議に感じない事が不思議ってか」
「で、心当たりが1つあって、確か13歳くらいの時なんですけど・・・その時何かが有ったんです」
「何かって何よ」
「それが分からないんです、全く思い出せなくて。でもそれまでの僕は『姉ちゃんが変だ』って悩んでいたのを覚えています」
「しかし、その何かがあってからパッタリと悩まなくなったと?」
「はい」
「それらの原因に魂が関係していると?」
「はい」
「さすがに無理がある推理だと思うぜ」
「そうです、だけどそれについてもなぜか確信があるんです」
「魂が原因だと信じてるんだな」
「はい」
「ふうむ」
「では、失礼します、聞いてくれてありがとうございました」
「ええ⁉帰るの?もう?あっさりしてるなあ」
「こんな話、真剣に聞いてもらえるだけで満足ですよ」
「俺の意見とかいいのかよ」
「はい、魂の存在を信じていないのなら聞いても仕方ないので」
未練など全く無い証拠にサッと悟は踵を返す。
「待ってくれ!!」
そんな悟を呼び止めた。
「何ですか?」
「そんな冷たい事言うなよ、今俺の意見も変わった。魂の存在信じるぜ。だからこれからは俺と一緒に考えようや」
「いいんですか」
「ああ、サトが嘘や妄想の話をしているとはどうしても思えねえ。俺も仏道の探求に行き詰っていたところだったんだ。そこにこうしてサトが現れた、これはきっと仏の思し召しだろ、頼むよ」
「いえ、こちらこそよろしくお願いします」
「ああ、よろしくな」
最初のコメントを投稿しよう!