新たなる刺客①

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新たなる刺客①

晶は最近は彩とよく登校する様になった。悟は気をきかせてここにはいない。 「ねえ、晶」 「私たちの関係をちゃんと校内で公表したいの(恋人同士だと)」 「いや、わざわざそんな事する必要あるかな?」 「晶は引き寄せちゃうから、ちゃんと予防線を張っておきたいの」 「前も言ってたけどそんな事ないって。それに何で今更、そんな事をするのかとも思うよ」 「それは、先日から私たちの関係性が変化したからじゃない」 「先日から?」 「そうじゃない、え⁉違うの?」 「違うよ」 「ええ⁉私の勘違いだったって言うの?・・・そんな・・・」 「だって、そうじゃないか。私が彩に対してそういう感情(親友)になったのは先日じゃないよ」 「あ・・・え⁉そ、そうなの、ずっと前から・・・そう(恋人と)思ってたの?」 「そうだよ、なんか伝わってなかったと思うと正直ショック・・・」 「ごめんなさい、全然そんな風には見えなかったから・・・でも嬉しい!」 「そっか、私はとっくの昔にそうなってる(親友)と思ってたのに」 「両想いの私たちでもやっぱりすれ違いって起こるのね」 「みたいだね、でも、もう大丈夫でしょ」 「うん」 彩は満足感で満たされ、周囲に公表したい当初の目的は忘れてしまっていた。 「さて、と」 晶はおもむろに鞄から食パンを取り出した。 「な、なな、何をしているの晶・・・」 「いやあ、ギリギリまでゲームしてたら朝飯食い損ねてさー、ちょっくら今食べようかと」 「ダメだよ晶!」 「えー、いいじゃんかよ。歩き食いくらいで細かい事言うなよ~」 「わわわ、私は、歩きながら食事する事が下品だとか、体に悪いとか、そんな事は今どうでもいいの!とにかく、今すぐ食パンをしまって!」 彩の言葉もむなしく晶は歩きながらパクっと食パンを頬張る。 「ああああああああ!!」 「はむはむ・・・さやか・・・さっきからどうしたのさ?変だよ」」 「晶、言ってるでしょ!あなたは引き寄せてしまう人なの!!そんな貴方が登校中に食パンなんか咥えてたら、引き寄せパワーが増大してしまうのよ!」 「なーに言ってんの彩、何年前の転校生ドラマよ」 「あー!だめー!!曲がり角には気をつけてー!!・・・あっ!!」 「おっと⁉」 晶は曲がり角の陰から、飛び出して来た少女を間一髪で交わしたが咥えていた食パンが口から離れてアスファルトに落としてしまった。 「ああ、ごめんなさい!急いでいたので・・・」 飛び出してきた少女は晶に平謝りしている。 「大丈夫、大丈夫。ぶつかってないよ」 「でも、パンが落ちてしまったみたいで・・・」 「こんな所で食べてた私が悪いのよ」 「しかし・・・あ!・・・あなたは晶様・・・」 「そうだけど・・・(さま)って何よ」 「わ、私、2年の佐藤夏鈴って言います。前から晶様とお近づきになりたいと思っていたんです」 「は、はあ・・・」 「やっぱりーーーーーーーーーーーーーーー!!!」 彩の叫びは朝の青空に響き渡った。
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