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ギャルゲーシュジンコー発動①
「あー、暇すぎてチンコになりそう」
独り言を漏らしながら、廊下を歩く。
ドン!
あまりにもボーーーーっと歩いていた晶は女生徒とぶつかってしまった。
「あっごめん」
「ちょっと!全然前見てなかったでしょ!!」
ぶつかられた女生徒は怒気を交えて晶を見つめる。
「だからゴメンって」
「あ、貴方は晶さん?」
初対面の人や教師もこの双子の事はファーストネームで呼ぶ。
同じ学年に悟がいて、同じ名字で紛らわしいから。
立花兄弟がどこに行っても政夫と和夫と呼ばれるようなものだ。
「そ、そうだけど」
「私は小島涼、バレー部の主将をしています」
知ってるよ、晶は心で呟く。
校内1ショートカットが似合う女生徒と言われており男女共に人気が高く、バレーボール部主将として姉御肌な一面もまた人気の底上げになっている有名人。
「じゃ、失礼しました」
そそくさと涼の脇をすり抜けようとする晶。
「待ってよ」
すっかり怒気は消失していて穏やかな口調で晶を呼び止める。
「ま、まだ何か?」
「今日さ、お昼ご飯食堂で一緒に食べようよ」
「な、なんでよ。私たち今初めて口きいた関係なのに」
「そんなの関係ない、私前から晶さんとは話をして友人になりたいと思っていたの」
「ええ⁉いやー、でも・・・」
晶は他人づきあいをメンドくさいと思うタイプだ。
孤独では無いが仲の良い友人は少ない。
しかし、それを全く気にしていないし、教室の喧騒の中一人でいてもマイペースで過ごしている。
「お昼休憩に迎えに行くわ」
「いやー!あのー・・・」
スタスタと涼は行ってしまった。
晶は美少女だけには強くいけないという事も追加しておく。
「晶・・・今の何?」
初夏の暑さを吹き飛ばすほど冷気を交えた声が晶の背後からした。
「さ、さむ!あ、彩じゃん。どうしたの?こんなとこで」
「晶、今のは何?って私は聞いてる」
「今の?あ。ああ何かバレー部の小島さんが私と昼飯食いたいらしいのよ」
「そんな事は分かってる。なんでオッケーしたのって聞いているの」
「な、なんか彩・・・こわい・・・どうしたの?」
「質問に答えて」
「いや、オッケーした訳じゃないんだけど・・・」
「でも行くんでしょ?」
「ま、まあ・・・面倒だけど・・・飯くらいなら、いいかなって・・・」
「私も行く」
「え⁉」
「いいよね」
「お、おう、な、なんで怒ってるの・・・?」
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