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ギャルゲーシュジンコー発動②
昼休みの食堂にて。
「あのさ、何で松井さんもいるのかな」
明らかに不機嫌な感じで、小島涼は思いを口にする。
「だって私は晶の親友というか、それ以上の関係なので食事はいつも一緒にしてますから」
松井彩は何かを言いかけた晶を遮ってキッパリと回答する。
晶には見える。
彩の背後には龍、涼の背後は虎が召喚されていて、お互いに咆哮を浴びせあっている。
二人の間には火花が飛び散り、雷鳴が轟く。
「あのー、お二人さん・・・?」
「ちょっと黙ってて」「ちょっと黙ってて」
「はい」
繰り返すが晶は美少女には弱い。
「いつも一緒?松井さんってモテるから男子生徒といつも一緒にいるイメージだけど?」
「あら、私はいつも晶と一緒にいるので、そんな話は根も葉もない噂ですわ。そんな下らない噂に踊らされる様な知能では、晶に悪影響を及ぼすかも」
「どういう意味?私が馬鹿だって言っているの?さすが校内テストいつも学年上位のお嬢様は庶民を見下してるわね」
「私、そんな事は申しておりません。だけど小島さんはもう少し勉強なさった方がいいのは事実ですわね」
「やっぱり馬鹿だって言ってるじゃん」
「事実を受け止めるべきと申しているだけです」
ドドドドドドドドド・・・!3人がいるこの空間だけが震えている。
晶だけは感じる。二人から発せられる強烈な圧を。
「私たち仲良く出来なさそうだね」
「そうみたいですわね」
ドドドドドドドドド・・・!!空気がひび割れそうだ!
「しかし今日は私が先約なんだ、松井さんが引くべきだろ」
「晶は承諾しておりません、貴方が強引に私たちの間に割り込んできたのです」
ドドドドドドドドド・・・!!!
「ストーーーップ!」
晶の声で2人が作り出した緊張が解かれる。
「晶さん」
「晶・・・」
「小島さん。彩は私の親友なんだ、仲良くできないってどういう事だよ?」
「い、いや・・・す、すまない」
「そうね晶。いきましょう」
「彩もだよ、最初に喧嘩腰だったのは彩だったよ。どうしたの?いつも優しいのに・・・」
「あ・・・いや、その・・・」
彩も涼も嫌われたくない思いが強く、こうなると晶の方が優位になる。。
「小島さん、彩と仲良くしてほしい。そうしたら私たちは皆友達だ」
「あ、ああ!分かった、よ、よ、よ・・・よろしく松井さん」
涼は彩に向かって右手を差し出す。
「彩、どうなの?」
晶は先述の通り、普段話をするクラスメイトはいるが、あまり特定の友達を作らず一人気ままに行動するタイプだ。
休日に町に出かけたり、ボーリングやカラオケをするのも悟か彩としか行った事が無い。
そんな晶に友達が増える・・・いや、それは別にいい。
だけど私には分かる、この女も晶を狙っている。友人のフリをして晶を自分だけのものにするつもりだ。
そんな事は決して許さない・・・晶は私だけの晶だ!
彩の心はそう叫んでいる。
しかし、ここでこの右手を払いのけつつ、晶を失望させない理由が見つからない。
「よ、よ・・・・よ゛ろ゛じぐ・・・小島さん」
涼と彩はがっちりと握手をした。
「いやー、良かった。じゃあ3人でご飯食べよう。私パン買ってくるね」
晶はスタスタとご機嫌に購買部へと消えていった。
取り残された彩と涼。
握手はまだ解除されておらず、彩と涼はお互い握りあったまま・・・と言うか握りつぶそうとしたままだった。
「・・・決着は」
「必ずつけるわよ!!」
龍と虎はまた現れていた。
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