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チンコ欲しい
「あー、チンコ欲しい」
晶は残りわずかなダイエットコークをゴボゴボと音を立てながら飲み干す。
「またか・・・」
もう何度も聞いたよという仕草で相槌を打つ悟。
「なあ悟、なんで私にはチンコが無いんだよ!」
「女だから」
「それが納得できないって言うのよ、いいじゃない女に有ってもさ~!」
「はいはい、もう帰ろうよ」
悟は二人分のハンバーガーの包み紙や紙コップをトレイに集めて、帰り支度に取り掛かる。
晶と悟の双子姉弟は、時々下校の寄り道でマックに行っては晶の「チンコ欲しいトーク」に悟が付き合う。
2人が店を出た瞬間。
「おう、待てや」
頭の悪そうなチンピラ2人組が声を掛けて来た。
「何よ?」
「何じゃねえよ、店の中でチンコチンコと連呼しやがって」
「お前、ヤリマンなのかよ?じゃあ俺たちの相手してくれよ、げへげへ」
「またか・・・」
若き女子中学生がTPOもわきまえず性器の名前を連呼すれば、周囲の男性の性的興奮を誘ってしまう。
興奮した男が時々、晶に声を掛けてくる。それは悟にとってたまにある事で、もう慣れっこだった。
「そんなヒョロヒョロの小僧より俺たちと遊ぼうぜ」
「馬鹿じゃないの?これは弟よ」
「こんな奴らに説明しなくていいよ」
「あーん!やっちまうぞコラァ」
「とりあえず、俺の車に詰め込んじまおうぜ」
チンピラAが晶の肩に手を掛けた瞬間。
「あばばばばばばばばばばばばっっっっっーーーーーーーー!!」
チンピラAは絶叫を上げ白目をむいて倒れてしまった。
「ななな、てめえら!何を、うべべべべべべべべーーーーーー!!!」
チンピラBも絶叫を上げ白目をむいて倒れてしまった。
チンピラ二人組は完全に気を失っている。
「電圧上げ過ぎたかしら」
改造スタンガンの火花を散らせながら呟く。
「また電圧上げたんだね。ほどほどにしとかないと死んじゃうよ」
悟はこの光景も何度か見ていて慣れている。
「全くこういうカス共は絶滅して欲しいわ」
「いや、姉ちゃんも悪いからね。やたらめったらチンコ欲しいとか言うからだよ」
「はぁぁぁ」
晶は大きくため息をつく。
「私はね、チンコを入れて欲しいのじゃないの。チンコを着けて欲しいのよ!!そんな事も分からないの?全く!!」
「誰も分からないよ」
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