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3 「おはよう」 二人に挨拶をして仁さんの座っていたソファーに座る。 仁さんは厨房チェックに八神さんと店に戻っていた。 二人は学ラン姿で、それをサクサク脱ぎ制服に着替えて行く。 俺は七斗の学ランと白いカッターシャツを脱いだ背中にチラリと目をやった。 白く透き通るような肌で、背骨がスッと柔らかなラインを描いている。 男の割には絞られた細いウエストが華奢な体に色気を付け足していた。 その隣で同じように着替える学には申し訳ないが、同じような好意の目は向かない。 七斗の着替えをじっくり見れたのは正直ラッキーだった。 早く来る事になった原因のあの橘とかいう奴に少しは感謝してやらなくもない。 すっかり黒い制服に身を包んでしまった七斗がこちらを振り返ると冷たい目で呟いた。 「光さんいつまで座ってんすか?行きますよ、まったく」 「ぉ…おぅ」 「フハッ!光さんまた七斗に叱られてるぅ〜」 学が吹き出しながらひょうきんに笑う。 そう、俺は七斗が好きなのに…七斗は誰より俺に厳しいのだ。 肩を落としながらも、店に出る。 店内はカウンター席と座敷、テーブル席の3区分になっていて、それほど広いわけじゃない。 ただし、立地的に考えれば駅近の路面店でこの広さでも相当額の家賃に違いない。 それを維持出来るのは、仁さんの料理の腕が良い事と、八神さんのハイスペックな見た目やら経歴やらが作用しているに違いなかった。 店に出るとすでにお客さんが入っていた。 仕事帰りのOL達が八神さんや仁さん目当てに沢山やってくる。 おかげで女性客が後を絶たないせいか、居酒屋さくらには男性客はあまり多くはなかった。
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