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受付嬢にアポイントをとっている日本の会社名を告げ名刺を渡し営業担当を待つ。
長身のいかにもイギリス人の男性が奥のロビーから現れた。
「初めましてブラウンです。良くお越しくださいました」
高橋は会釈しながら、名刺を渡し会社のパンフレットを添え概要を説明をした。
「こちらへどうぞ」ブラウンが会議室を案内してくれたので高橋の後から加津夫もしょうがないのでついていく。
高橋から紹介されず自己紹介もできず居たたまれなかった。
会議室に入ってから初めて高橋が加津夫をブラウンに紹介した。
「紹介が遅くなりましたがわが社の新入社員です。見た目はこんなのですが子供では無いのでご安心下さい。よろしくお願い致します」
「未熟者ですが日本の文化を知って頂きたく御社に来させて頂きました」
「女性の方ではなかったのですね。失礼」
驚いたブラウンは加津夫に釘付けだった。
高橋はしてやったりと心の中で舌舐りをした。
民芸品と写真 歴史資料をディスクに並べ細かな説明を始める高橋と加津夫。
イギリスも日本も茶を愛する文化が共通していることを掲げ茶運び人形、茶器、あぶらとり紙だけでなく和紙製品を説明する。(手漉きで仕上げの物)一見紙ナフキンと思われるが和紙は服やバッグも作れると説明してから加津夫の着ている浴衣を示す。
ブラウンは驚愕してサンプルを所望した。
小芥子は日本の飢饉で子供を間引きした時代があること、あかべこ お雛様 子供たちの成長祈願に(色々他にもあるが)使われた張り子。
「日本は休日が少ないと思われますが子供たちの健康、民族繁栄、祝い事は四季折々の祭り事があります」
イギリスで初めての営業は昼食を挟んで終了した。高橋は本社に報告をしてサンプルを発送して貰いたいリストを明記してFAXを送信すると伝えた。
夕刻にまで次の営業先に行く。
休み時間なんて無い。先ほど営業で紹介した商品(あぶらとり紙)で加津夫の紅を軽く吹き紅を差し直した高橋。
全部おとしたいが高橋さんは嫌がるだろう····
俺が全部払拭してやると加津夫は思ったが実現には及ばなかった。
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