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次の日グレイスがマリーにマナーを教え込む。ばあやはそんなグレイスを見て(奥様は何かに取りつかれたようだ)と心配した。
「誰かに会ったら、ごきげんよう、と声掛けして天気の事、体調の事を聞いて相手に配慮ある言葉掛けをしていきます。さぁ、マリー今、お母様に会いましたよ····なんて声掛けします」マリーは昨日の今日で素敵な声かけなんてできない。
「お母様、ごきげんよう。昨日、ビンタした右手は痛みませんか」嫌味を言われたグレイスはメイドが食卓に用意させた鞭で叩いた。
「ほ~ら素敵な鞭捌き。マリー、お母様はもう痛みませんわよ」うずくまるマリーを見てグレイスは笑いとばした。
マリーはうずくまりながら泣き出した。
「奥様、お嬢様にいきなりは難しいと思われます。ピアノがお好きなので遊びの中に取り込んでいってはいかがですか?」ばあやはマリーを抱き抱え容赦ない教育に苦言して提案をした。
「身に付かないとダメ。上品で優雅で美しく振る舞わないとピエロのようだわ」
ばあやは旦那様に伝えておこうと心のなかで思った。
朝食を食べるまで何回続けたのだろう。悲しくなるまで続ける必要があったのだろうかとばあやは思いマリーに朝食を提供する。
「お嬢様、泣くのは後にしましょう。美味しく朝ごはんを頂きましょう」ばあやの優しい声かけにマリーはゆっくり食べ始める。
マリーが食べ終わるとばあやはオリバーに電話を掛けに行く。
「旦那様本日早くお帰りになられますか?奥様は大変、教育熱心に取り組まれておりますが、もう少し余裕を持たれた方がよろしいかと思いましてお電話いたしました」
オリバーはグレイスの行動をケイトの事が印象に残っていてマリーに当たり散らしているのだろうと思った。
「ありがとう、早く帰るよ。グレイスには夕食は皆で食べるよう伝えてくれ」
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