幸せの道🍀

湖畔

加津夫に車の中でどういう状況なのか説明を求めるオリバー。
グレイスが自分たちの交際を疎ましく思いマリーに苦言を漏らしていたことを伝えた。
「私がチャップマン家を後にしてしまったのでソフィアさんの方が良く存じ上げていると思いますが」そのソフィアから連絡を貰ったんだよと思ってオリバーは「解ったよ」と告げ家路を急ぐようにと運転手を急かした。

貴女は酷い人。私を制御して駒のように扱おうとしている、貴女は酷い。何故私の目の前にいるの？ お願い消えて。

ベンチに腰掛けているグレイスが湖に落ちるように思い切り背中を押した。
「お嬢様いけません」家から飛び出てきたばあやの叫び声と共にマリーを背中から抱き締め行動を静止させた。
「ばあや離して。私は私なの、駒じゃないの」
グレイスは動きながら体を起こそうとした。「勝手に生まれて育ったくせに憎たらしい」
言い放し続けてまだ言いそうだった。
「お黙りなさいそれ以上言ってはいけません」マリーを抱き締めながらばあやはきつくグレイスの言葉を遮る。
「私はプライドを酷く傷つけられたわ、マリーを許せない」グレイスは漸く起き上がりマリーを叩こうと近づく。
社用車が到着し運転手が後部座席のドアを開けるより早くオリバーは自らドアを開け降り立った。
「グレイス！ 」大きな声をかけながら走りよりグレイスを止めさせたオリバー。加津夫はマリーの側に行き頬を優しく包み込み「何があったんですか？ 」と囁き問いかけた。マリーは加津夫に抱きつき泣き崩れた。

皆で家の中に入りグレイスの容態をオリバーとばあやが見て擦り傷、打ち身などだけで軽症だった。救急医療は受信しなくて大丈夫そうだ。
「グレイス、マリーと何があったんだい？ 」
オリバーはベッドで横になっているグレイスを労りながら尋ねたが「疲れたわ、もう寝るわ」と一言返して背中を向けた。
グレイスの部屋からばあやとともに出てくるオリバーに詳細を伝えた。
「ソフィア、ありがとう。大変だったろう、今日はゆっくり休んでくれ」オリバーはばあやを労って上がるように伝えた。