寮生活

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寮生活

マリーと加津夫が手を繋いで社員寮に出向いた2人を見て高橋は怒鳴り散らした。 「テメェふざけてんのか! どういう事なんだ! 人前でイチャ着くんじゃねぇって言っただろう」頭ごなしは止まらなかった。 「私の妻です。昨日からその事でバタついて無断外泊になってしまって申し訳ありません。社長には話はしましたが民事婚をやるため必要書類等を大使館で聞いて来ました。イギリスで認証(婚姻要件宣誓書、婚姻要件確認書を貰いその後入管局でビザを申請)してもらい手続きが終われば日本に帰ってから市役所で正式に籍を入れます。日本に帰るほんの数週間寮生活を共に過ごします。よろしくお願いします」加津夫から言われマリーを見る高橋。 「ナユタ短い期間だけどよろしく」 「お嬢様本気ですか?カツオと結婚されるんですか? それで寮生活しようとなさるんですか? オリバーはご存知何ですか?」高橋は度肝を抜かれて一気に質問責めにした。マリーは微笑みながら「そうよ」と何度も頷きながら返事をした。田中も驚きっぱなしだった。 「石本、おめでとう。幸せにしてやれよ」加津夫の肩を抱き寄せ顎を上げてキスをする高橋。 (ギャーなに考えているのよこの人は! )田中は何度驚かせたらこの人は落ち着くのかしら、と思ってしまう。マリーもキャーキヤー騒ぎながら「ナユタ! 私の夫に何するの!」高橋を叩きながら加津夫から引きはなそうとする。 何で俺はこの人からキスされなくちゃいけないんだ。やっぱりこの人は頭がイカれてる。加津夫は思いながら高橋を引き離した。 「祝福のキスだ、受け取れよ」 「事後報告ですか、止めて下さい」 高橋は遠慮するなと笑いながら加津夫の肩を叩き「日本でもよろしくな」と伝えた。 日本に帰ってもこの人と一緒に仕事をしていくのだなと加津夫は考えたが「こちらこそ、よろしくお願いします」と社交辞令を言えた。
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