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我は、焔を操る妖である。
生まれは大陸、黄河のほとり。炎帝の娘、瑤姫によって、この世に召喚されたのだ。
以来、『火』と『夏』を司る女神に名を頂戴した古き大妖として、四千の齢を重ねて今に至る。
率いる眷属は、下位の物の怪まで含めて三百以上。大陸のみならず、ここ、日の本の都でも我の前にひれ伏す妖どもが引きも切らず、眷属は増えるばかりだ。
さあ、妖猫の頂点に君臨する我を畏れ敬え! 崇め奉れ! さすれば、眷属として庇護して……。
「いつまで続くのだ、それは。そろそろ黙れ!」
——ぱしーんっ!
「いったぁーい! 何すんのよう。せっかく乗ってきたとこなのにぃ」
「乗ってきた? あれだけ長く無駄口を叩いておいて、まだ続けるつもりだったのか」
「酷い! 太古の皇帝に縁あるアタシの華麗なる経歴を聞きたいって言ったのは光成ちゃんでしょ? なのに、それを無駄口って言うなんて!」
「人聞きの悪いことを言うな。何が、華麗なる経歴だ。しかも、私が聞きたがったように言うとはどういうことだ。自分の都合の良いように話をすり替えて同情を引こうとするな!」
「痛ーい!」
酷い酷い、と訴えるも、再び頭をはたかれて叱られた。
現在の飼い主、大納言家の六位蔵人は、一見、儚げな美貌を裏切る容赦の無さをアタシ相手には隠さない。これでもアタシ、大陸では伝説の妖なんだけど? もう少し、丁寧に扱ってほしいものである。
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