内恋禁止(2)対等

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内恋禁止(2)対等

 冷や水を浴びせられたような形になったが、取り敢えず名前も知らない相手だと、課業に精を出す。  そして自由時間になって、クタクタになって洗濯物を抱えて歩いていると、部屋の上級生寺角が、別の女子学生1人と男子学生3人と話をしているのを見かけた。  対等な関係に見え、ピヨは、大人っぽいと感じた。  何を話しているんだろうと耳をそばだてるまでもなく、嫌でも声が聞こえて来た。 「それでどうしたの。朝立ち見られて、まさかこそこそと?」 「そのまま1発に決まってんでしょ」  寺角ともう1人の女子学生がそう事も無げに言うのに、ピヨは思わず固まった。 「当然だろ、そんなもん。1発と言わず──ん?」  言いかけた男子学生が、真っ赤になって固まったピヨと皆瀬に気付いた。  挨拶しろと言いかけ、揃ってニヤニヤとした。 「お、お、お疲れ様れす!」  ピヨと皆瀬は動揺したままカミカミで挨拶し、背中に、 「初々しいなあ」 と笑う声を聞きながら、足早にその場を去る。 「び、びっくりしたね、ピヨ」 「う、うん。あれって、セクハラじゃないのかな」 「どうなんだろ?」  こそこそと赤くなりながら物干場に入って話していると、苦虫をかみつぶしたような顔付きの長谷川と花守が入って来た。 「あ、お疲れ様です!」  それに2人は、 「ああ、ピヨと皆瀬だったの」 と言った。  キョトンとすると、花守が苦笑して言う。 「猥談してたら通りかかった1年生がいて、反応が処女っぽかったって寺角達が言ってたから」  それにピヨと皆瀬は、驚き、慌てた。 「いや、だって、ねえ!?」 「そうですよお!あんな風に男子と性別関係なしに話せるのは大人っぽいのかもしれないけど!」  それに長谷川が、唾でも吐きそうな顔付きをした。 「間違えるなよ。あれは単に男に媚びてるだけで、対等じゃない」  花守は苦笑した。 「特に男子学生をライバル視する長谷川みたいな女子学生もいれば、男子学生に媚びて守ってもらう女子学生もやっぱりいるのね。それからああいう風に、何でも男子学生と同じって示すようにわざと猥談とかもする女子学生もいるの。  色々ね」  長谷川は不機嫌そうに、 「あれは対等を装って、却って男子学生の目を意識して振る舞っているだけ。ああいう女は、好きじゃない」 と言った。 「難しいですねえ。小学校の時みたいなのが対等だったのかなあ?」  ピヨが首を傾けると、皆瀬は、 「あはは。私は奥手で、中学校の頃までそんな感じだったな!」 と笑う。 「まあ、男女関係は、難しいのよ。大人になって行けば行くほどね」  花守が言って、大人しく洗濯機に向かった。
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