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優しい雨 #1
分かってた筈なのにな、最初から…
どう足掻いてもアイツは俺のモノにはならない
分かっていても、それでも諦められない…
そんな時はどうすれば良いかなんて、誰も教えてくれなかった
「湊音、今日は定時か?」
「ああ。何とか帰れそうだ」
「なら一緒に晩飯食ってこうぜ」
「…良いのか?」
「ん?何が?」
「その……恭臣は…」
「ああ、あいつ今日は会議が長引きそうなんだと。一昨日もそんな事言ってドタキャンだぞ!信じらんねーよ」
不満そうに唇を突き出したその顔面で、強い意思を伝えてくる双眸は正直に “寂しい” と言っていた。
「だいたいさぁ!告白したのは俺だけど、先に好きになったのは恭臣の方だぞっ?!なのに何っにも言ってこねえで、しかも俺の前では妙にモジモジしやがって!」
良い感じに酔っ払った和歩が、空になったビールジョッキをドンッ!と勢いよくテーブルに置く。
「はいはい。で、それを見かねたお前が仕方なく『俺と付き合わないか?』って告白してやったんだろ?何百回も聞いたよ」
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