CLOSER  事件No.2 「花嫁哀歌」

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「一人はまだ新人だが、彼らの能力が問題じゃない。17体の遺体はデータベース上で確認できたが実物が保存されてるのか、損傷具合も確認するとなると通すチャンネルが多くなるだけだ。検死や臨場のデータはすぐにこっちへくる」  あからさまな不快感を浮かべた羽島は、手にしていた手袋を外すとパン、と音をたてて置いた。 「まどろっこしい。ご大層な新法も長年の縦割り組織には負けるわけか」 「このバーチャル医療が当たり前の現代でどうしても実物の遺体をよこせ、って拘る法医学者も相当なアナログだけどね。運良く遺体が保存されていたところで、17体のうちどれだけ移送できるかわからない。まずは3DデータとDNAで検証してくれ」  データが到着したことを示す画面を見せる樫家に、ふん、と鼻息を返事の代わりにして羽島はそのまま奥のドアへと消えた。 「機嫌が悪いんですよ、羽島さん」  キャビネット前にいた女性が、洗浄の済んだ器具を棚に戻しながら苦笑いを浮かべた。 「またフラれた?」 「私から聞いたって言わないでくださいよ」  片手をあげて、樫家は羽島法医学研究室をでた。  □
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