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「直近の熊本で一体、この遺体はまだ保存されてる。耳以外にもなんか色々欠けて……ああ、事件性があるからか。どっちにしろカチコチに凍ってるから、メスが入るかわかりませんけど」
「……あのさ、ちょっと言い方……」
赤城のクレームは、アイシャドウに瞬殺される。
「かまわん。私の方で手配する。30分後に亜豆と紫音が戻る、ミーティングまでに各遺体の特徴と発見場所と状況をまとめておけ」
スマホを手に出ていくハイヒールに、了解、と二人は返した。
□
出揃ったメンバーを前に、樫家はいつもどおりの美しい無表情で確認できた17体の遺体と2つの耳、そして熊本の遺体について伝えた。よく大学時代の同期に上司は女性で美人だと伝えると羨ましがられるが、正直いってこういう場面では見た目がゴリラなおっさんの方がマシだと赤城は思った。
ゴリラなおっさんなら強そうだし死体の写真を前に冷静なのも頷ける。フェミな人には怒られそうだが、美女にはやはり少しぐらい怖がるそぶりくらいして欲しいと思う。
「課長。熊本の遺体ですが、冷凍保存されてて解剖に支障はないんですか」
「羽島のことだから、なんとかするだろう」
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