CLOSER  事件No.2 「花嫁哀歌」

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 01  奇妙なメールは、樫家のもとに届いた。  あんたの素性を知っている、折り入って調べて欲しい件があるーーという一文が、よくあるフリーメールのアドレスから届いた。日曜日の朝に。  気になると裏を取らずにいられない樫家は、朝の紅茶を手にしながら赤城と紬を電話で起こし、起こされた赤城は二日酔いの頭を引きずりながら調べ、ついでに紫音を起こして、紫音もまたついでに亜豆を起こした。日曜の朝くらい、と全員に迷惑がられたそのメールだが樫家に召集されるに至っては、ゴキブリのごとく嫌がられた。 「最初に言っておくが、日曜なのにすまんな、などという労いを期待するなよ。ここをどこだと思ってる」  税金で仕事をしているんだぞ、と上司に言われては諦める他ない。 「働き方改革って、どこの世界線の話だろうな」 「結局は、ピラミッドの上にいる連中だけだろう、下々には関係ないわけでしょ」
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