停留所問答

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「犯人はネットの書き込み。ネットに誹謗中傷を受けて眠れなくなったから病院で睡眠薬をもらっていた。耐えきれなくなって、睡眠薬を大量に煽って自殺した」 「正解!!」  美菜がパチパチパチパチと手を叩き、立ち上がった。  ちょうど大きな水しぶきを上げて、バス停にバスが滑り込んできたのだ。ふたりは急いで荷物を背負ってバスに入る。ふたりの住む町に戻る人数はまばらで、ふたりとも並んで座席に座ることができた。  がたんごとんと揺れるバスの中、真子はそっと美菜に尋ねた。 「あのさあ……それって実際にあったこと?」 「あら? もうウミガメのスープは終わったでしょ」 「そうなんだけどさ……なんか具体的だったような気がしたから」 「結構あちこちで転がってる話じゃない。もうゲームはおしまいよ」  そう言って、美菜は頑なに真相を教えてくれなかった。  真子はバス停の外を眺める。  ふたりの住む町は大きくもなければ小さくもない。ただ火のないところに煙を立たせる性分の人が大勢いる。  どれだけ個人情報保護法が守ってくれない町だとしても、家の中のことだけはわからない。  そう、わからないのだ。
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