写楽は誰か✨😜✨✨💕

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写楽は誰か✨😜✨✨💕

 かすかに雨音が聞こえてきた。七月に入ってから久しぶりの雨だ。  オジさんから『雨音はショパンの調べ』と言う曲を聞いたので掛けてみた。ひそやかに小糠雨(こぬかあめ)の降るこんな日にはピッタリの昭和のヒットナンバーだ。  ボクは東洲斎写楽の資料を整理していた。  写楽は何年かに一度、ブームが巻き起こる。  浮世絵を知らない人でも東洲斎写楽の浮世絵は見た覚えがあるだろう。  そして東洲斎写楽がいったい誰なのか。  かねてより写楽は阿波の能役者、斎藤十郎兵衛とするのが通説だった。  しかし写楽別人説を唱える者が現われた。  しかもその数は三十人を越えている。  有名な浮世絵師では歌麿、北斎、そしてライバルの豊国だと推理した者もいた。  さらに、十返舎一九や蔦屋重三郎説、平賀源内、写楽工房説、秋田蘭画家など。  果てはシャーロックと言うオランダ人画家まで登場した。  だが今ひとつ説得力がない。  誰を写楽としても矛盾が生じるのだ。  その写楽別人説をボクが納得するまで解き明かそうと思う。  これがボクのこの夏休みの『自由研究』のテーマだ。  ♢♢♢♢♢  今年も暑い夏がやってきた。  今日は雨が降って幾分、過ごしやすい。  しかし問題は夏休みの宿題だ。中でも厄介なのは自由研究だ。  自由と言っておきながら、まったく自由ではない。他のみんなはテーマを決めるのに四苦八苦しているだろう。  しかしボクは、今年もこのテーマで決まっていた。  東洲斎(とうしゅうさい)写楽(しゃらく)だ。  なにしろボクの名前は(あずま)写楽(しゃらく)と言う。父親が写楽のファンだからだ。  当然のことながら、ボクも写楽については他のクラスメイトの子供たちよりは詳しいつもりだ。  毎年、夏休みの自由研究で調べているので当たり前のことだろう。   まったく知らない人のために少しだけ写楽を紹介しよう。  江戸時代中期、彗星のように現われ、たった一年足らずの間に、百四十数点の浮世絵を残し忽然(こつぜん)と姿を消した謎の絵師。  それが四大浮世絵師のひとり東洲斎写楽だ。(六大浮世絵師と言う説もある)  そして一緒に写楽の謎を解いてくれたのが天才美少年探偵ナポレオンだ。  ついにこの夏の自由研究で東洲斎写楽の正体が突き止められた。  全ては天才美少年ナポレオンのおかげだ。  まさに、『ナポレオンの辞書に不可能と()けない謎はない』と言ったトコロだろう。  東洲斎写楽の正体は。
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