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人間の解体に慣れてきた私は、躰のみならず内臓の解体にも手を出し始めた。
――そして、森宮匠は心臓を抉り取ってWTCの空きテナントに棄てた。
4人目の獲物は鶴橋千春。殺人現場自体は環状線の中と言っても過言ではない。
満員電車は殺人を犯すには難しいと思っていた。
しかし女性専用車両だと真逆そんなところで事件が起こるとは思わないだろう。だから私は敢えて女性専用車両で犯行を行うことにした。自分の性別が女性であることを利用して。
ラッシュアワー時の環状線で、短髪の女性に薬品を嗅がせる。そして、西九条駅で降りてトイレの中に連れ去った。その女性こそが鶴橋千春だった。
鶴橋千春を解体した私は、工事中の遊園地の駐車場にバラバラ死体を棄てた。こんなところに警察が来るわけないと思っていたからだ。しかし、この計画は目撃者である鳶職によってぶち壊しにされてしまう。この頃から私の殺人計画に支障が出始める。
5人目の獲物は寺田真澄。殺人現場は梅田の病院だ。
強盗を装って寺田クリニックに潜入した私は、薬品ではなく薬品棚にあった睡眠薬を寺田真澄に嚥ませた。
そして、そのまま寺田真澄を解体した。
普通に梅田の家電量販店建設予定地に棄てるのは却って目立つので、西成区の簡易宿泊施設の襖に棄てた。
――流石に西成区だったら気づかないと、私は思っていた。
6人目の獲物は天王寺博史。殺人現場は日本橋の路地裏。
必死に抵抗していたので、思いっきり心臓をナイフで突き刺した。もちろん、即死だった。
――そして、天王寺博史を解体した後、改めて心臓をナイフで突き刺して、道頓堀に天王寺博史だったモノを流した。
7人目の獲物は芦原あかね。殺人現場は阿倍野区のカラオケ屋だ。
流石に友人を手に掛けるのは抵抗があったが、酒で眠りこけている彼女を見ると殺人衝動が芽生えてしまった。
カラオケルームの中で、丁寧にあかねちゃんを解体していく。
正直、彼女を殺したことだけは後悔している。小中高と同じ学校だったから当然だ。
高校の時に『里見八犬伝』がヒットしてから私は高校を中退してしまったが、あかねちゃんから手紙をよく貰っていた。そして、私がプライベート用の携帯電話を買ったことを話すと、あかねちゃんは喜んでいた。
そんなことを思い返しながら、私はあかねちゃんだったモノをゴミ袋に詰め込んでいった。
外は雨が降っていた。しかし、今の私にはそんなことはどうでも良かった。
カラオケ屋の近くの「フラット電機」のビルの路地裏に、あかねちゃんだったモノが入った袋を棄てた。
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