慈雨――弟弟

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慈雨――弟弟

 漆黒の空に輝く満天の星は、成仏できない死者の魂。湖畔に腰を下ろして星空を見上げている人はたいてい表情に翳がある。けれども、帰るときにはどこかつきものが落ちたような顔になり、微笑みさえ浮かべる人もいた。  そして、来た人が帰ると決まって流れ星が一つ流れる。  だから私は、今日もあの人を待っている――。
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