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兄さん、もう泣かないで。僕は、ずっとあなたを見守っているから。嗚呼、涙も雨と一緒に洗い流してしまいましょう。しとしとと降る優しい霧雨の雨音に、あなたは聴き入っているようでもありました。
まだ漂う哀愁は消えないけれど。まだ、湖から湧水はあふれているけれど。
でも、少しだけ――表情にかつての面影が、見ると安心できるような面影が戻ってきているような気がしました。
雨が止んだら、夜空を見上げて御覧なさい。白く輝く六等星が、きっとあなたには見えるでしょう。あなたはひとりじゃありません。ようやく仲間入りできた、満天の星が瞬く北の空。
その中で僕はずぅっと哥哥、あなたを見守っていますから――。
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