黒姫山の伝説

2/2
前へ
/29ページ
次へ
「ちん・・まあ、それはいいとして、じゃあ霊狐はどこにいったんですか?」 『霊狐がどこに消えたのか、今となってはさっぱりわからん。もともと霊狐など、最初からいなかったんじゃないかって気ぃまでしとるんだ』 「ふうん。どうしたのかな。しかし坊の努力が実らず、残念でした」 『うん。じゃがな、あの子はミッちゃんというんだが、相性が良くての。おまけに性の嗜好まで似とる』 「しこう?あ、嗜好ですか・・」 『嗜好じゃ。なかなかよう仕込まれた尻でな』 「あーッ、その話はいいですから!」 『住む家がないと言ってたから、わしの寺に住まわそうと思う。それと操り人間の中にミッちゃんの友だちがいてな、どういうわけか彼は酷く年老いた感じなんだ。だから静養も兼ねて、彼も一緒に住まわせる。健康になれば3Pもできるし』 それ以上の情報は持ってないようだった。無扇坊との通話を済ませると、マサルは次に柳さんにメールを送った。彼女も元に戻っただろうか。 それから今度は佐々木氏に電話した。 『おー、庭代くん。こないだの大騒ぎ、あれはやっぱりあんたの仕業だろうな』 「まあ、占い師の件はなんとかなりました」 『知っとるぞ。左内宮司が帰ってきたんじゃ。だが霊狐のことは覚えておらんかったわ』 「ということは、あれから何をしていたかも覚えていないということですか」 『そうなんじゃが、何か人が変わったように明るくなっての。それとやたらベタベタした男になりよった。顔を合わせてると、えらい潤んだ目をしてワシを見るんじゃ』 佐々木氏との話も終わって、スマホをポケットにいれようとしたとき、メールの着信音が鳴った。柳さんからだ。 『お疲れ様でした。ご存じかもしれませんが、私もあの集団の中にいました。今、付き合っている人と一緒にです。後で聞いたことですが、仲のいい友人もいたそうです。あれはいったい何だったんでしょう。庭代さんと沖本さんと三人で占いの館に行きましたよね。あれが何か関係してるんでしょうか。でも庭代さんに直接会って話を聞くのがとても恥ずかしい。理由はお分かりですよね。でもいつか、もう少し落ち着いたら、お話しを伺いたいと思います。それまでしばらくは、幹生さんと心穏やかに暮らすつもりです』
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加