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「ちん・・まあ、それはいいとして、じゃあ霊狐はどこにいったんですか?」
『霊狐がどこに消えたのか、今となってはさっぱりわからん。もともと霊狐など、最初からいなかったんじゃないかって気ぃまでしとるんだ』
「ふうん。どうしたのかな。しかし坊の努力が実らず、残念でした」
『うん。じゃがな、あの子はミッちゃんというんだが、相性が良くての。おまけに性の嗜好まで似とる』
「しこう?あ、嗜好ですか・・」
『嗜好じゃ。なかなかよう仕込まれた尻でな』
「あーッ、その話はいいですから!」
『住む家がないと言ってたから、わしの寺に住まわそうと思う。それと操り人間の中にミッちゃんの友だちがいてな、どういうわけか彼は酷く年老いた感じなんだ。だから静養も兼ねて、彼も一緒に住まわせる。健康になれば3Pもできるし』
それ以上の情報は持ってないようだった。無扇坊との通話を済ませると、マサルは次に柳さんにメールを送った。彼女も元に戻っただろうか。
それから今度は佐々木氏に電話した。
『おー、庭代くん。こないだの大騒ぎ、あれはやっぱりあんたの仕業だろうな』
「まあ、占い師の件はなんとかなりました」
『知っとるぞ。左内宮司が帰ってきたんじゃ。だが霊狐のことは覚えておらんかったわ』
「ということは、あれから何をしていたかも覚えていないということですか」
『そうなんじゃが、何か人が変わったように明るくなっての。それとやたらベタベタした男になりよった。顔を合わせてると、えらい潤んだ目をしてワシを見るんじゃ』
佐々木氏との話も終わって、スマホをポケットにいれようとしたとき、メールの着信音が鳴った。柳さんからだ。
『お疲れ様でした。ご存じかもしれませんが、私もあの集団の中にいました。今、付き合っている人と一緒にです。後で聞いたことですが、仲のいい友人もいたそうです。あれはいったい何だったんでしょう。庭代さんと沖本さんと三人で占いの館に行きましたよね。あれが何か関係してるんでしょうか。でも庭代さんに直接会って話を聞くのがとても恥ずかしい。理由はお分かりですよね。でもいつか、もう少し落ち着いたら、お話しを伺いたいと思います。それまでしばらくは、幹生さんと心穏やかに暮らすつもりです』
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