エピローグ

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「そうですか。今日聞いた話なんですけどね、あの件で本庁から通達がありまして。宮内庁管轄の古墳について、陵墓巡回監視員というのを新しく募集するんですって。それで早急に人を集めろって。どう?庭代さん、私と陵墓回りはいかがですか」 「面白そうですね。もっと話を聞かせてくれますか」 「じゃあ、これから付き合ってください。私は飲みますけど、庭代さんはお茶でいいですからね」 こうして私と庭代さんの関係は続くことになった。彼は役所を辞め、宮内庁の臨時職員となって、シフトによっては私とコンビで古墳の管理、調査をおこなっている。 あの事件のことは、私たちは折に触れて話し合った。私が今思ってるのは、彼には黙っているけれど、あのとき霊狐はマサルさんに取り憑いたのかもってこと。霊狐が彼に取り憑いて、阿鼻姫を連れて古代に帰った。そこでマサルさんは解放されて現代に戻った。だから霊狐もアビーも消えた・・。 なんてね。彼はそんなこと、全然思ってないみたいだけど、私はそう考えているの。 彼と、その、男と女の関係になったのは、巡回監視業務の人員が揃って、みんなの歓迎会をした夜でした。つまりあの事件から、ほんのしばらくあとってことですね。 私は無羽の力を借りずに、彼を部屋に誘ったのよ。 「君、本当にレズビアンなの?」 歓迎会の帰り道、彼が小さな声で聞いてきたのね。 「さあ。どーでしょーね。調べてみる?」 「調べるって、どうしたら調べられるのか、教えて欲しいですね」 「私の部屋に来ますか?机の上の写真立てとか、パソコンに取り込んである画像だとか、そんなので調べられるんじゃないですかね」 実は私の部屋って殺風景なの。写真立てもパソコンもない。趣味もないみたいなもの、だから何もないんです。 だけどマサルさんは私に趣味があったことを教えてくれた。 「へえ、これってビー玉?違うな、石か」 「それはね、河原で拾ってくるんです」 「へえ。こんな綺麗な石が河原にあるんですか」 「昔からなんとなく集めてるの、思い出しました。ほら」と私は机の引き出しを開けた。 そこから出てきたガラス瓶には、キラキラ輝く小石が詰め込んであるの。 「特に綺麗なのはここ。普通に綺麗なのは」と、もうひと瓶、取り出して見せた。 「へえ。僕も欲しいな」 「欲しいって、どのくらい欲しい?」 するとマサルさん、とっても不思議な目で私を見たの。 「これ全部!ガラス瓶だけ返すから!」 と笑ったその顔に、私は我慢しきれずに抱きついた。 彼は私の背中に腕を回すと、キスで応えてくれた。それから、彼はその、イメージと違って、とってもワイルドに、、、あ~、ここから先は言えません!私と彼との、本当にプライベートな時間ですから。 それじゃもう、このへんで。おやすみなさい! ( 終 わ り )
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