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2022年5月15日
僕の家に由良がやって来て、丁度10日が経過した。
簡単な料理を作って置いておくだけで瞳を輝かせる。
頭を撫でてやろうとするだけで、身体を守るように逃げ出したりしゃがみ込んだりする。
床で寝ようとするし、大きな音を立てるだけでびくりと肩を跳ねさせる。
話しかけようとすると、涙声で謝る。
捲れたカーディガンから、痛々しい傷が覗いていたこともあった。
由良の様子を見ていると、これまでの兄の所業をうかがえる。
……しかし、一つ困ったことがある。由良は、僕を含め大人に懐いてくれそうにないのだ。
暫く考えて、何とか解決案を思いついた。
仕事の為に、と無理して買った最先端のパソコンから、「極秘」と命名されたファイルを表示させた。
中には、開発途中の医療用AI「愛」が入っている。
一応由良も「精神を患っている」と言えるのだから、上司に目をつけられても「実験だ」と言い逃れもできるはずだ。
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