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2022年5月22日
制作途中だったプログラムの穴を急遽埋めて、漸く「愛」は完成した。
「医療用AI、イトです。よろしくお願いいたします」
スピーカーから、ボーカロイドに近い機械的な声が溢れてくる。
画面には、肩のあたりで黒髪を切り揃えた可愛らしい少女のアバターが浮かび上がっていた。
そこまでは、成功。
けれどまさか、「愛」の字を「イト」と認識するとは。
プログラムに間違いがあったかもしれない。
「うん。よろしくね、愛」
愛の声をスピーカーから認識できるように、愛もこちらの声を認識しているようだ。
ふにゃりと幼い笑顔で「はい!」と勢いよく頷いた。
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