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2022年6月3日
ようやく由良が、自分から口を開いた。
思わぬ進展に、僕は心の中でガッツポーズを決める。
「イトさんは、私に、酷いことをしませんか?」
どこまでも痛々しい問いに、愛はしかし、迷いなく答えてみせる。
「そんなことしませんよ。だって私も………医療に携わる者なんですから」
プログラム外で、愛の中に「医療従事者」という自覚が芽生えているのに感動する。
……自信満々な愛の答えに、由良の虚な瞳に光が差した気がした。
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