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 あれから3ヶ月後くらいにもう1回ヒートがあった。  そのヒートは予定日から少しズレてしまって、紘哉は休みを取れなくて残念そうにしていた。  番になって初めてのヒート、だけど、残念ながらその記憶は朧気であまり覚えていない。  紘哉が仕事の間にヒートが来てしまったせいで1人で過ごした少しの時間が寂しかったことはしっかりと覚えていた。  そしてそれからまた1ヶ月、オレの体には異変が起こっていた。  少しのだるさと吐き気。  最初は風邪かと思ったけれどすぐにピンと来た。  もしかして妊娠?  オレは前に買ってあった妊娠検査薬で検査をした、その結果は。 「陽性だ…」  嬉しいという感情よりもゴム付けずにシたことあったっけ?なんて疑問が先に浮かぶ。  でもそんなのすぐにどうでもよくなって、嬉しいとかやっとだとかそんな感情が湧き出てくる。  ここにいるんだとお腹を撫でる。  すると勝手に口元が綻んできて、口角が上がる。  今日はお店も定休日だから病院に行こうと決めて病院へ向かった。  いつも行くΩ科の病院は、家からそこまで時間もかからずすぐに行ける。  その間も少し体調は悪かったけれど、それも特に気になることもない。  カウンターで受付をして、待合室で呼ばれるのを待つ。  周りにはお腹の大きい妊婦さんや若い男の人、色んな人がいる。  暫く待っていると名前が呼ばれて診察室に入る。  見慣れた40代くらいの、優しそうな医師の顔ももう見慣れた。  今日はどうされましたかと聞かれてオレは事情を説明した。  診てみましょうと言われて看護師に連れられて検査室へ入る。  思っていたよりも長い検査工程を経て、それが終わってまた暫く待合室で待機していた。  スマホを見ると紘哉からはメッセージが来ていた。  今日は定時で帰るからご飯一緒に食べよう、そんなふうに書いていた。  そういえば明日は久しぶりに2人で出掛ける予定の日だ。  楽しみだなあなんて思っていると、また看護師がオレの名前を呼ぶ。  次はエコーを診てみましょうと言われて、看護師に言われた通り台に寝転ぶ。 「妊娠、してますよ。おめでとうございます」 「ほ…ほんとですか!」  そんな言葉を聞いて、嬉しさがまた込み上げてくる。  モニターに映る胎内には、赤ちゃんと思しきまだ小さな命が映る。  そんな我が子の様子を見て、オレは自然と笑みがこぼれた。
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