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Side 紘哉
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最近、悠斗の匂いが変わった気がする。
付き合い始めて早2年、ようやく俺たちは番になって、幸せな日々を過ごしている。
もしかしたら悠斗が心変わりするかもしれないとここまで番になることを引き伸ばしたのは俺だ。
けれど今の、悠斗からはずっと前から浮気なんて考えられなくて、ならもっと早く番になってしまえば良かったと今では思う。
が、最近匂いが変わったのは何故だろうかと思う。
…もしかして妊娠?
そう思ってインターネットで検索してみると、Ωは妊娠すると匂いが変わることがある、なんてご丁寧に書かれていた。
悠斗は覚えていないだろうが前回のヒートでゴムはいらないからと強請られてゴム無しでシたからもしかしたら。
けれどそれを問いただすのも変な感じがして、俺は悠斗から何か言われるまで待とうと思った。
それよりも今は今日のことだ。
今日は2人で出掛ける日。
俺は今日、悠斗にプロポーズしようと決めていた。
番になってから半年くらい経ってしまった。
もっと前にプロポーズしたかったが指輪も用意出来ていなかったし忙しくて時間もなかなか作れなかった。
婚約指輪はもう買ってあるし、多分悠斗にも見つかっていない。
「紘哉〜、準備出来たよ!」
「じゃあ行こっか」
悠斗に言われて俺たちは家を出た。
悠斗に見つからないように指輪もしっかり持って、車に乗り込んだ。
今日は少し遠くの観光地に行く予定だ。
色々なお店が立ち並ぶその目的地は初めて行く場所で楽しみだ。
悠斗が行きたいと言い出したけれど俺も楽しみだし、楽しんでくれたらいいなあと思う。
その帰り、俺の行きたいところに寄ってそこでプロポーズをする予定だ。
多分、いや絶対悠斗はOKしてくれるけれど、緊張するものは緊張する。
とはいってもまだ先だ。
悠斗に悟られるのも嫌だし、隠し事は得意というか顔に出ないタイプだしきっと大丈夫だろうけど注意しなければ。
車を走らせている間に悠斗はうとうととして、そして眠ってしまった。
律子さんが亡くなってから仕事も大変そうだし、休める時に休んで欲しいから起こさずに、スピーカーから流れる音楽も少しボリュームを下げた。
赤信号で止まっている間にちらりと悠斗を見てみると、窓側にこてんと首を傾けて心地良さそうに眠っていた。
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