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「んぅ…」
隣から唸り声が聞こえた。
目的地はもうすぐそこだ、起きるにはちょうどいいタイミングだ。
「起きた?」
「え…あ、寝ちゃってた…!?」
はっとしたようにそう言う悠斗に笑って大丈夫だよと言う。
「ちゃんと寝れた?」
「…うん。でも紘哉と話しながら来る予定だったのに…」
「疲れてたんでしょ、いつも色々してもらってるし仕事も忙しいから」
「オレなら大丈夫だよ。毎日楽しいし」
悠斗はポジティブすぎてたまに心配になる。
無理させないようにちゃんと見てないと思うけど、無理している様子なんて悠斗からは全くしないから困る。
「もうすぐ着くから用意しといて」
「うん!」
そう言って10分もしないうちに目的地に到着した。
そこには最近流行っているらしいスイーツのお店や雑貨屋等色々あるらしい。
その中に悠斗が行きたい店があるらしく、オレはそこに着いていくことにした。
「あ、ここのスイーツ美味しそう!」
ふと立ち止まって指を刺したのは木目調でレトロな喫茶店だった。
「寄ってみる?」
「お腹空いてないからまた後で行きたいな。テイクアウトとかも出来るみたいだし!」
店の前の看板にはテイクアウト出来ます、とメニューが大きく書き出されている。
悠斗がそう言うならと俺たちはそれに従ってまた歩き始める。
途中で雑貨屋さんに寄ったり、食べ歩き出来るアイスクリームを買って2人で食べたりとのんびりその通りを歩いた。
最近暑くなってきたから冷たいアイスクリームはちょうど良くて、2人で1つずつ違う味を買って食べた。
「あ、あそこだ!」
すると突然悠斗が指を指す。
そこは清潔感のある綺麗な花屋だった。
律子さんが亡くなって店を再開してから、悠斗は花が好きで詳しくなっていた。
“ばあちゃんが好きだったから店に置いておきたい”と言っていて、今も店には以前のように綺麗な花が飾られている。
「ここ、うちの近くじゃ置いてない花とかもあるんだ!ばあちゃんも喜んでくれるかなと思って」
「うん。絶対喜んでくれるよ」
2人で店に入ると色とりどりの花が至る所に飾られている。
花だけではなくて観葉植物のコーナーもあって、こういう所に来るのもたまにはいいかもしれないと思う。
「花買うの?」
「買おうかなって思ったけど、暑いししおれちゃうかもだけだからドライフラワーにしようかな」
そう言うと店の一角を指さされる。ドライフラワーのコーナーだ。
「花買いたいなら最後にここ来てもいいけど」
「いいの?じゃあそうしたいな!」
ぱっと笑顔になる悠斗を見て思わずつられて俺も笑った。
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