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1人の女子生徒が乗ってきて向かいに座った。
色白でほっそりとした顔、視線はうつむいていたが瞳が大きくて美しいことがわかった。そして、悩み事を抱えているような悲しげな表情が、強い印象を与えていた。
彼はおもわず見とれてしまい、完全に固まってしまった。
(いけない。きれいな女の子をじっと見るなんて、変なやつだと思われる。他の車両に逃げちゃったりして…今日は朝から散々な日になるのかな。)
ところが、見とれていた彼には気がつかなかったのか、彼女はそのまま鞄から本を出して読み始めた。
(今どきスマホを見るのではなくて本が好きなのか。きっと静かで穏やかな性格なんだ。)
それから彼は必死に、外の景色を見ているように見える方向に自分の顔を固定させた。どうしても彼女の方に視線を向けたかったが、彼は耐えに耐えて終点の伊浜駅まで姿勢を維持させた。
「神木、神木信次。今日は体の調子が悪いのか。ずっと頭を抱えて、黒板を見ないな。」
歴史の授業中、彼は教師に注意された。
「先生、基本的に体の調子には問題ありません。ただ、首筋が痛くて痛くてたまらないだけです。」
「そうか、でも神木はまだ15歳だろう。首筋がそんなに痛くなるような老化が始まるのは早いな。」
教室の中が大爆笑に包まれた。
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