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2 再会だった
上り電車が伊浜駅に到着すると、中から乗客が降りて、一瞬列車の中には誰もいなくなった。どこにも座れたが、事前に申し合わせたように自然に2人は先頭車両の座席に並んで腰掛けた。
彼は隣の彼女に言った。
「この辺がいつも一番空いているので座るようにしています。僕は回りに人がぎっしりいて空間がないと心が落ち着かなくて、息もできないような気がして好きではありません。」
彼女が言った。
「私もそうです。多くの人に隙間なく囲まれると、心臓がどきどきして、時には過呼吸になって倒れてしまったことがあります。」
話している間、電車は少しずつ動きだした。都会の私鉄と違い、三州鉄道は駅と駅との区間が短く、そんなに早く走らない。
彼は決心して自分のことを話し始めた。大切だと思う人には知っていてもらいたいことだった。
「僕は極端に神経質なんです。子供の頃からほんの些細なことがとても気になって、何もできなくなってしまうこともありました。心配した親が病院に連れていって、心療内科の医師に見てもらったことがありました。」
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