2 再会だった

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 彼女がたずねた。 「それで、どういう診断だったのですか。私に話していただけるのであれば、知りたいです。」 「専門用語でHSP(ハイリーセンシティブヒューマン))というそうです。回りの情報を深く処理し、過激な刺激を受けやすく、心の境界線が薄く共感しやすいそうです。それで、疲れやすく、自己否定が強くなってしまうこともあると聞きました。」  そのことを話した時、彼女はとなりで彼の顔をだまってじっと見ていた。  彼は言った。 「驚かれるかもしれません。でも、お医者さんの診断は、僕のことを正確に説明しています。」  彼女が言った。 「全然驚いていません。………それに、私も同じHSPです。HSPであることは恥ずかしいことではありません。」  そして続けた。 「まだ自己紹介していませんでした。私の名前は、里村夜見(よみ)、伊浜市立高校の一年生です。」  彼には思い当たる記憶があった。 (夜見さんって………)  そして想い出した。 「あの時泣いていた女の子ですか。」
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