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伊浜市の郊外、鹿島町を見下ろす山の上に狭間総合病院があった。神木信次が小さな子供の頃、母親に連れられて心療内科の診察を受けたのはこの病院だった。
彼を診断した医師が言った。
「お母さん。全然心配ありません。HSPだと判断される人は約2割くらいいるという調査もあるくらいです。病気ではなく信次君の特性、パーソナリティなんです。それに、他の面を含めて信次君の性格を総合的に判断すると、自分をうまくコントロールしながら大きくなるでしょう。」
母親は喜んだ。
「ほんとうによかった。先生、ありがとうございました。」
家に帰ろうとして、彼が母親に連れられて病院の中を歩いていると、キッズコーナーで小さな女の子が大きな声で泣いていた。
女の子は彼と同じくらいの年頃で、母親らしい人と看護師が泣くのを止めようといろいろ苦労していたが、だめなようだった。
その様子を見た時、彼はかわいそうになり母親に言った。
「おかあさん。少しここで待っていてね。」
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